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FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
妖精たちの○○な日常 vol.1
S t o r y 1 3 地底の研究室
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ことかっ!大人しくさっさと牢獄に行きやがれっ!」

悲しげな敵の男の声が紡ぐ言葉にイブキは目の前の男を吊り気味のオッドアイで睨み付け声を荒げながら強く言い放つと、右拳を固く握り締め全魔力を拳にかき集める。

「フラジール、力を……貸してくれ―――――!」

ギリッと噛み締めた奥歯が鈍い音を立てる。そして拳が淡い紫色の光を放ち始めた。

「どおぉりゃあああああっ!」

体を思いっきり反らし、渾身の力を込めてイブキは床を殴った。
すると黒く歪んだ床にピキッと亀裂が入り、耳をつんざくような音を立てながら沼が消え、元のコンクリートの床が姿を現した。

「おっしゃー!自由だーーーっ!って、ンなことより……ハッピー!コテツ!」

勢いよく立ち上がったナツは倒れているハッピーとコテツに駆け寄る。

「チッ。」

暗くて顔が見えないが、男がイブキのことを睨みながら舌打ちをしているのが分かった。

「俺もガキの頃、「忌子(いみご)」とか「悪魔」とか散々言われて存在することを認められなかった人間だからな、テメェ等の気持ちも分からなくはねェよ……。」

ほんの一瞬だけ、イブキの表情に翳りが見えた。が、それを払い除ける明朗な声がイブキの耳に届いた。

「お前、そんなこと言われてたのか?」
「なんか、意外だね。」
「うるせーっ!ガキの頃の話だっつってんだろーがっ!いちいちつっかかってくンじゃねーーーっ!」

コテツを支えるナツとナツの頭に乗っている負傷したハッピーの言葉にイブキは苛立つ。

「大丈夫だよイブキ。昔はそうだったとしても、()()違うから。」
「!」

目尻を下げて柔らかく微笑んだコテツの言葉にイブキは目を丸くする。コテツの隣でナツとハッピーも白い歯を見せながら笑いかけていた。

「……ホント、お前等ってずりィよな。」

ため息と共に言いながらも、イブキはどこか嬉しそうだ。

「つー訳で?今の俺は“こっち側”でちゃんと認められて存在してるんだ。」

鎖骨に刻まれた紫色の紋章(存在証明)を撫でながらイブキは言った。
笑ったイブキを見てホッとしたコテツは視線を男に移す。暗いせいで顔は見えないが、背中に水色と紫色の鞘の重そうな双剣を背負っており、闇と同じ色をしたコートを羽織っているのを捉えた。そして男の魔法の特徴を思い出し確信する。

「イブキ、たぶんその人が『闇夜の創造主』だよ。」
「へぇ。」
「マジかっ!?」
「そーなの!?」
「うん。闇の中でいろんなものを創り出してる魔法を使うから、たぶん間違いないよ。」

コテツの言葉にイブキは両手の指の関節を鳴らし、ナツとハッピーは驚嘆の声を上げた。イブキは男の方に向き直ると口を開いた。

「今ならまだ間に合うぜ。
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