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SAO−銀ノ月−
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も、全然ダメ」

 だから、ね――と、レインは俺の手の中にある日記帳を指差した後、顔を見られたくかのようにターンして背中を見せた。

「だから、私が書いたその日記帳に、何か手がかりがあればいいなって。今の私じゃ、何が手がかりなのかも分からないから」

「……ありがとう、レイン」

「私、紅茶煎れてくるから。座ってお待ちください、ご主人様……なんて」

 そう言ってレインはこちらに表情を見せないまま、再びキッチンに向かっていく。記憶を失うという混乱と恐怖の中、これを託してくれたレインに感謝しながら、勧められたソファーに座ってレインの日記帳を開いた。

 バックダンサーとしてアイドルの活動を始めたのが嬉しくて書き始めた、という言葉は正しいようで、あまりページ数はない。さらに最初のページはレッスンや《オーグマー》、オーディナル・スケールについてで、手がかりになるようなものはない。

「これは……」

 託してくれたとはいえ、あまり日記帳など見られたくないものだろうと、手がかりの無さそうな箇所は読み飛ばしていく。そして《オーグマー》が発売して、ユナが活動を開始した頃――ちょうどレインがユナとともに忙しくなって、連絡が取れなくなっていた時期だ――の日記に、気になる記述を見つけ出した。

『ARアイドルが、どうしてあの子にそっくりな姿で』

「あの子……」

 どこか引っかかる言い回しを頭の片隅に置きながら、ページをさらにめくっていく。ここからレインは仕事と並行して、気になったことを自分なりに調べ始めたらしく、そのことについての記述が多くなっていく。

『ノーチラスくんと再会。こっちではエイジだって怒られてしまったけど、ユナのことについて問い詰めた』

「あいつ……!」

 ここで関係してきたのは、先日に俺をARで襲撃し、今は何か手がかりがあるかと探しているノーチラス――エイジという青年だった。どうして奴がユナに関係があるのかと、さらにレインの日記帳を読み進めていくと。

『どうしてARアイドルのユナは、SAOで死んだユナの姿をしているの――』

「SAOで、死んだ……ユナ?」

 ――そこで反射的に、日記帳を読み進める手を止めてしまう。ARアイドルではなくSAOプレイヤーであったユナと言われれば、先日の襲撃の際にエイジが問いかけてきたあの言葉が、否応なしに俺の頭の中に浮かび上がった。

『――ユナ、というプレイヤーのことを知っているか』

『――お前があの浮遊城で殺したプレイヤーの名さ』

「……ユナ……」

「ショウキくん? 電話鳴ってるよ?」

「あ……悪い」

 二人分の紅茶を持ってきたレインの指摘に、ようやくポケットの中にしまい込んだ携帯が鳴っていることに気づいた。それ
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