廃校阻止のために
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さらには自らの勘違いで高校生でいられなくなると誤解していたことを知った彼女は、普段の明るさを取り戻していた。
しかし、このままでは自分たちの後輩である一年生たちが、ずっと後輩のいない高校生活になってしまう。自分たちもこの学校が好きだから、何としてでも廃校を阻止したいと考えた彼女は、何とかするための作戦を考えることにした。
入学希望者が定員を上回れた廃校を阻止できる。ならばと学校のよい点を見つけてアピールしようと考えた三人だったが、出てくるのはどれも中途半端なものばかり・・・
「はぁ・・・全然ダメだ・・・」
結局いい案が思い付かないまま、その日の学校も終わり帰宅した穂乃果は深いため息をする。落胆した彼女が居間へと入ると、そこにはファッション誌を広げた妹、高坂雪穂が寝転んでいた。
「おかえりぃ」
「ただいま・・・」
力ない挨拶をしてから鞄を置いてテーブルの前へと腰掛ける。それからあんこがなんたらかんたらで一悶着あったが、母に怒られた彼女はさらにションボリとしながらテレビを付ける。
『東京都春季高校野球大会、選抜出場校東日本学園は初戦となる東江戸川高校戦を12対0の5回コールドで突破しました』
テレビから聞こえてきたのは現在東京都で行われている春季高校野球都大会のニュースだった。それが聞こえた途端、ファッション誌に視線を落としていた妹が顔を上げる。
「やっぱり東日本強いよねぇ」
「雪穂知ってるの?」
頬杖をつきながら先ほどのニュースの感想を述べる妹に、何も知らずに問いかける姉。だが、その言葉は妹のハートに火を付ける。
「お姉ちゃん知らないの!?東日本学園っていったらUTXと同じくらい人気がある学校なんだよ!?」
「ご!!ごめん!!」
彼女からすればUTX学園のこともイマイチわかっていないのだが、そんなことはお構い無し。
「東日本学園は進学校ってイメージが強いけど、部活もいい成績残してるんだよ。特に野球がずっと強くてね、ほとんどの部活で都大会優勝のUTXが唯一勝てないと言われてる高校なんだよ」
熱弁を振るう彼女にタジタジの穂乃果。それからしばらく語られるのを聞いていると、妹から信じられない言葉が告げられる。
「UTXもいいけど、東日本もいいかなぁ?でもちょっと遠いかな?」
「えぇ!?雪穂音ノ木坂じゃないの!?」
代々音ノ木坂高校へと進学していた家系の中で、当たり前に妹も自分の後輩になると思っていた。それなのにそんなことを言われたら、驚かない方がどうかしている。
「だって音ノ木坂なくなっちゃうじゃん」
「それは・・・」
返す言葉もないと、押し黙ってしまう。静かな時間が流れていたその時、神が舞い降りた。
『また、本日行われました女子野球特別強化試合では、注
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