第三話 新たな天使
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地球のインスタント食品を食べたことは無いけど母さんの作る料理に勝てる訳ない。
「あ、着いちゃった」
それは、巨大なビルだった。
周囲のビルも結構デカイけど、そのビルはそのどのビルよりも大きく見上げるほどの高さだった。
ここが、クーデリアの会社だ。
名前は……なんだったけ。確か、アドモス商会だった気がする。
これだけ大きな会社を持つクーデリアってやっぱり凄いなぁ。
────そして、それはやってきた。
真っ赤な、血の色をしたそれはやってきた。
始まる────厄祭戦の再来が。
「────?」
一瞬、空の上を何かが通り過ぎていった。
鳥のような影……だった。でも、あんなに大きい影を作る鳥っているわけない。
鳥の形をした雲が、たまたま太陽と重なって影を作った?
そう考えれば、さっきの鳥の影の大きさも頷ける。俺は空を眺め────それを見た。
それは、真っ赤な何かだった。
「アレは……」
鳥の形に似ている。でも、あの大きさは鳥なんかじゃない。
太陽の光に照らされ、異様な光を放つ真っ赤な物体。それは、少しずつ降下し、周囲に暴風を巻き起こした。
嵐のような風だ。
「おい……なんだ、アレ?」
「ギャラルホルンの新型モビルスーツ……?」
「なんかの……パレードか?」
周りの人達は、それを見ている。
そして、それはその人達を見て────。
「────え?」
巨大な足で、地面ごと蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた道路の一部は物凄い勢いで建物に激突し、建物を粉砕した。
ピチャっ。
何か、頬に当たった。
俺はそれを右手で拭う。
「え……? これ……血?」
よく見れば服の所々に真っ赤な液体が付いていた。
怪我はしていない。ということは、これは俺の血じゃない。
じゃあ、誰の……?
その答えは近くにあった。
足元に転がっている人間の「手」らしきもの。さっき、アイツが吹っ飛ばした人の手のようだ。
「……?」
一瞬の出来事で状況を把握し切れていない。
でも、ここにこのまま居るのは駄目だと判断した。
俺は走った。
クーデリアは、この建物の中に居る。
あんな訳の分かんない奴の近くに居るんだ。ここは危険だ。母さんの所に一緒に帰れば大丈夫……それで大丈夫だ。
早く、早く。
走れ。走るんだ。
悲鳴を上げる人達。無視しろ、今はクーデリアと一緒に帰ることを考えるんだ。
「ママっ!ママっ!」
泣きわめく、女の子声。
その光景は、昔の「あの」光景を思い出した。
母さんと一緒に泣いていた「あの」女の子。おいおい、嘘だろ。なんで、こうなってる。これはなんの冗談だ?
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