戦友は今・・・
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金網に両手をかけ、昇っていこうとする。足が負傷しているため、なかなか進めずにいたが、やっとの思いでフェンスを乗り越えようとした時・・・
バタンッ
屋上の扉が勢いよく開かれた。
「ハラショー!!」
金色に輝くサラサラの髪をなびかせながら、頬を赤らめて走り寄ってくる少女。彼女がなぜそんなに興奮しているのかわからずにいた。
「東日本学園の天王寺さんですよね!?」
「うおっ」
昇りきろうとしていたところから無理矢理地面へと引き摺り下ろされ、お尻から落下する。そのダメージに痛む部位を擦っていたが、目の前の少女はお構い無しだ。
「甲子園で優勝した東日本学園の天王寺剛さんですよね!?」
目を輝かせ何度も同じ問いをぶつけてくる少女に圧倒される。何がそこまで彼女を興奮させているのか、その時の彼にはわからなかった。
「そうだけど・・・」
東京都の野球名門校、東日本学園高校。部員数は各学年最大20人と決して多くはないが、その大半が学校側からの推薦を受けたエリートたちで構成されていることもあり、常に上位に進出する強豪校として知られている。
中でも三年前、日本一に輝いた“高校野球史上最強”と称されたチームを率いていたのが、この物語の主人公、天王寺剛なのである。
「ハラショー!!こんなところで会えるなんて!!感激です!!握手してください!!」
許可を得る前にすでに手を握っていた少女だが、それくらいいいかとされるがままでいる。しかし、握手した際に彼はある違和感を感じ取った。
「君、野球してるの?」
手が普通の女の子よりも固かったように感じた彼は、まさかと思い聞いてみる。すると、少女は嬉しそうにパッと笑顔を浮かべる。
「わかりますか!?亜理沙、野球が大好きなんです!!」
なぜ三年も前の選手を知っているのか疑問だったが、それを聞いて納得する。野球をこよなく愛しているのなら、ある程度話題になった人物のことを把握していても不思議はないからだ。
「なんでこんなところに・・・」
俺と同じように患者の着る衣服に身を包んでいる彼女だが、どこかをケガしているようには見えない。かといって病気でも患っているのかとも思えないほど健康そうな肌色だし、なぜこんなところにいるのか、青年は疑問に持った。
「今回は検査入院なんです!!明日には退院するから、天王寺さんに急いで会わないとって思って!!」
少女は看護婦から青年が入院していることを偶然聞いたらしく、探し回っていたところで屋上にたどり着いたらしい。ただ、それよりも彼は検査入院という単語が引っ掛かった。
「病気だったの?」
「いえ!!頭にボールを受けちゃって・・・」
金髪の彼女は投手だったのだが、一年ほ
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