暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
SAO編ーアインクラッドー
06.赤と幻惑
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女は現実世界でも私の妻だった」

 それは予想だにしていなかった事実だった。

「一切の不満もない理想的な妻だった。可愛らしく従順でただ一度の夫婦喧嘩もしたことがなかった。だが、この世界に共に囚われたのち、彼女は変わってしまった。強要されたデスゲームに恐れ竦んだのは私のだけだった。彼女は現実世界にいた時よりはるかのイキイキとして充実した様子で、私は認めざるおえなかった。私の愛したユウコは消えてしまったのだと、ならば! ならばいっそ合法的な殺人が可能なこの世界にいる間にユウコを永遠の思い出の中に封じてしまいたいと願った私を誰が責められるだろう」

「そんな理由であんたは奥さんを殺したのか」

「いかれてやがる」

「十分すぎる理由だ。君らにもいずれわかるよ探偵くん。愛情を手に入れ、それが失われようとした時にはね」

 ───……何だこいつはいかれすぎてる。

「いいえ、おかしいのはあなたよ、グリムロックさん」

 アスナがグリムロックの背後から歩いてくる。

「あなたがグリセルダさんに抱いていたのは、愛情じゃない。あなたが抱いていたのはただの所有欲だわ!」

 アスナの言葉にグリムロックは膝から崩れ落ちる。すると、シュミットとカインズが立ち上がり、グリムロックの横につく。

「キリトさん、シュウさん、この処遇は私たちに任せてくださいませんか」

「わかった」

「了解だ」

 ヨルコが立ち去りざまこちらに一礼してグリムロックたちの元へ。

 夜が明け、朝日が俺たちを照らす。
 圏内事件、悲し結末で終わった事件だったな。

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