第68話<プライド>
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東の空。そこにそびえる黒い大山を背景にして『彼女』がフッと、こちらを振り返った。
『……』
埠頭にいた全員が息を飲んだ。悔しそうに逆巻く髪。そして何故か彼女の澄んだ瞳が妙に印象的だった。
「……」
黙って彼女を見ていた北上も何かを感じているらしい。振り返った海上の『彼女』は明らかに北上と私を見ていた。
だが不思議と私は彼女を見ても今回は鳥肌が立たなかった。なぜだろうか?
「……」
やがて彼女は大山の方向へ向き直ると、そのまま外洋へと去って行った。
「あれは本当に敵なんですか?」
神戸が不思議そうに言う。
呉オジサンも頭をかきながら言う。
「艦娘と同じや……女性型ってのもあるンやけど、ワシらにとっちゃ闘い難い相手っちゅうこっちゃ」
「へえ」
若い彼は、まだ艦娘はおろか敵についてもほとんど知らない。だがそれは私だって同じだ。敵も艦娘も、まだ分からないことだらけなのだ。
「アンタ……そうなんだろう?」
北上が黒い大山を見ながら呟いている。
敵の彼女については最後まで正体は分からなかった。
もし彼女が大井だとしても今後は北上とも一戦、交えることもあるだろう。敵とは言え、戦い難い相手だ。
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