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マイ「艦これ」(みほちん)
第68話<プライド>
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反転した。

「また急降下爆撃が拝めますね」
神戸が言う。

……だが残念ながら、その期待には応えられない。私は直ぐ寛代に声をかけた。
「寛代、赤城さんに最後の一撃は加えるなと指示してくれ」

「うん」
寛代は、私から手を離し耳を澄ますような格好をした。

 直後、海上の赤城さんがハッとしたように構えを解く。そして、ゆっくり振り返った。ホッとしたような表情だ。そして直ぐに彼女が手を上げると急降下を開始していた艦爆の編隊は何もせずに次々と深海棲艦たちの脇をすり抜けた。

「……!」
これには連中も驚いたようだった。もちろん寛代の無線を聞いていない艦娘たちも同様にざわついている。

 だがチラッとこちらを見た赤城さんは私と目が合うと、にっこり微笑んで頷いた。
「司令……」

「ああ、それで良い」
艦爆の編隊は敵の間を水しぶきを上げながらすり抜けると再び夜の空へ舞い上がった。

 それを確認するように頷いた赤城さんは、再びこちらを見て何か呟いている。直ぐに寛代が反応する。

寛代は私の袖を引いて耳打ちする。
「赤城の艦爆から……敵にも怪我人が居るって」

「ああ……寛代、全チャンネルで呼びかけだ」

 港湾内の深海棲艦たちの多くが負傷していた。だが彼らは艦爆の動きを見て、こちらが攻撃しないと悟ったようだ。負傷者を救援しつつ、ゆっくり撤退を始めた。

呉が聞いてくる。
「このまま大人しく帰るンやろうか?」

私は頷いた。
「はい実は、さっき無線で『降伏するなら手当てをする』と打診しました」

その言葉に神戸が感心する。
「おお! 素晴らしいですね」

舞鶴が言う。
「反応は?」

「……いや、残念ながら、まったく無視だ」
私が肩をすくめて言うと彼は腕を組んで海を見詰める。

「まあ、そうだろう。彼らにも誇りはある。敵の情けは受けないか」
そう言いつつも少し残念そうな彼だった。

「ホコリ?」
若い神戸が不思議そうな顔をする。

呉オジサンが苦笑して応える。
「ある程度な、敵さんと付き合っていると、そんなものを感じるようになるンや」
「へえ……」

 私は改めて舞鶴を見ると彼はジッと敵の『彼女』を見詰めているようだった。
私は何も言わずに黙っていた。

 夜の港湾内では深海棲艦たちの撤退が進み次々と外洋に出て行く。そして、あの大井らしき深海棲艦は最後に港湾を出た。

「あの人、とっても気になるのです」{IMG29572}
私の脇に来た電がいう。

「そうだな」
 電だけじゃない。ここに居るほとんどの艦娘や参謀たちが同じ気持ちなのだ。そして舞鶴が言ったように、あいつは再び戻って来るのだろう。

 その時だった。薄っすらと明るさを帯びてきた
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