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聞く。テッサ、これから何をするつもりだ?」
隔壁が閉じられている艦内で、艦長室に戻る短い通路で質問をする。
「あの部屋に入って、船と私を接続して操船しやすいようにします、それから……」
「それから?」
テッサは言葉に詰まり、話しながら歩いていると、通い慣れた場所でもまたパイプに躓き、倒れる前にソースケの胸に飛び込んだ。
それは故意なのか、恋なのかは不明だったが、テッサの細く小さい体を抱いたソースケは、その体が震えているのにも気付いた。
「テッサ……」
「もし、もし時間があれば、30分でも、いえ10分でもあれば、貴方に抱いて欲しかったんです」
少女は明らかに今生の別れをしていて、もう逢えないのだと思っているのにも気付かされた。
「やめるんだ、テッサ。死を覚悟して戦うのはいい、しかし、自殺攻撃はしてはいけない、それは負け犬のする事だ。捕まっても、船が沈んでも戦い続けるんだ」
自殺攻撃や自爆が大好きな日本人から、自殺禁止のキリスト教徒に忠告する。
「大丈夫です、死んだりしません、帰ってきます」
ソースケには聞かせていなかったが、ウィスパード同士で話し合った内容。「紅茶とミルクを混ぜてしまえば、もう元には戻せない」それを実行するつもりでいた。
「サガラ軍曹、姿勢を低くして目をつぶり、別命あるまで不動の体制を取りなさい」
「はっ」
少女にできるほんの少しの我儘、最期の命令をされ、指示通り目をつぶり、低い姿勢を取った。
「サガラさん……」
熱く甘い吐息が掛かると、唇にも熱い感触が伝わり、暫くするとテッサの震えが収まった。
「宜しい、休め」
「はっ」
非常に事務的と言うか軍事的な別れの挨拶であったが、副長に爆薬と一緒に発射されるぐらいの価値があった。
ソースケの腕の中から離れたテッサは、艦長室でレディチャペルの鍵を取り出し、無言で歩いた。
すぐに到着してしまい、もう艦長室にもブリッジにも戻らないテッサの為に、背後で隔壁が閉鎖されて行く。
「やめるんだテッサ、何をするのかは分からないが、死んではいけない」
友人としてでは無く、ファーストキスをした恋人として忠告する。
「いいえ、大丈夫。ここはレディチャペル、奇跡を行う場所なんですよ」
本来男は進入禁止のレディチャペル。扉を閉じてお別れするはずがソースケを強引に押し込み、後ろ手に鍵を掛け、操作台に寝るため、同じ年頃の男性の前だが、恥じらいながら服を脱ぎ始めるテッサ。
もし襲われるとしても、ここなら監視カメラもなく、愛し合うことも出来る。ソースケの発進時間には遅れてしまうが、できれば出撃しないでほしいと思う女心もあり、体を使ってでも引き止め、別の女を助けるために命を掛けないで欲しいとも思った。
「なっ、何をしている? ここはそう言う場所なのか
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