第67話<ガングロ突進>
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
していたのだが最初の魚雷攻撃に続いて、このガングロ軽巡の至近弾が次々と炸裂したから滝のように水しぶきがバッサバッサと容赦なく降りかかってくる。皆ずぶ濡れだ。
ここまで来るともう、どーにでもなれ! ……って感じだけど。
「夏の夜で良かったな」
寛代に向かって開き直る私。彼女も苦笑している。
「ガングロ娘のお陰で敵も相当かく乱されたようだな」
ハンケチで額を拭いながら呉オジサンが言う。
「ムチャクチャだ」
これは舞鶴。眼鏡が濡れて見え難いらしくイライラしている。
そのガングロ軽巡は水柱をかい潜り、なおも走り回っていたが、ようやくこちらに向かって突進して来た。
大淀さんが叫ぶ。
「あっ! ぶつかる!」
彼女が指差した先には伊168と北上が居た。
「まずい」
……と言った168は、さっさと急速潜行した。潜水艦娘だからな。あとは低姿勢をとっていた北上だけ。彼女も水しぶきを避けながら半分顔を覆っていたのだが、ふと顔を上げた。
「なっ!」
目を丸くして驚いている。そりゃそうだ、もう真正面からガングロ艦娘が突進して来ているんだ。
「どいて、どいてぇ!」
どけるか! ……と思いつつ見ていると避ける間もなく北上とガングロは正面衝突した。
「あ痛っ!」
北上の叫び声。
「あ……」
「火花が散った」
いつの間に舞い戻っていた電と雷…… って、お前ら何処へ逃げてた?
海上の北上は鼻を押さえながら、ものすごい形相で怒鳴った。
「もぉ、いい加減にしてよね!」
北上が本気で怒っているところは私も初めて見た。
「普段、怒らない人が怒ると怖いんだ」
おい、響か?
「ご、ごめんなさい」
謝りながら、ようやく爆走娘は止まったようだ。
「伊168と一緒に来たのか?」
私が呟くと暁が言う。
「ガングロの茶髪って誰かしら?」
私の隣に偉そうに腕を組んで立った暁が濡れた髪を気にしながら言う。
伊168が少し離れた海上に再び顔を出して言った。
「ぷハッ……、あーあ派手にやったネ阿武隈、でも大丈夫?」
「うん」
額を擦りながら彼女は応えた。
それを見た私は言った。
「お前が阿武隈か?」
「はい」
彼女は真っ黒な顔のまま敬礼をした。
「呉から参りました。よろしくお願いしますっ」
私は噴出しそうになるのを堪えながら敬礼を返した。
「ああ、ヨロシクな」
「敵の勢いは、かなり弱まったな」
舞鶴の言葉に私も改めて様子を見る。夜の港湾内では一連の奇襲攻撃で深海棲艦も半減しただろうか?
退避していた艦娘たちも探照灯を持って集まると港湾内を一斉に照らした。同時に艤装を着けた赤城さんと日向が港湾内の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ