暁 〜小説投稿サイト〜
苦渋
第四章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初
それでもですか」
「今度。動物園に行って宜しいでしょうか」
 あの動物園にだというのだ。彼が毒を送ったその動物園に。
「そうさせも貰って宜しいでしょうか」
「どうぞ」 
 園長もだ。澄んだ微笑みで応えた。
「何時でもいらして下さい」
「有り難うございます。それでは」
「人は時として苦い決断をしなくてはなりません」
 他の命を奪う、そうした決断もだというのだ。
「ですがそれでもです」
「それでもですね」
「そこに心があることはわかります」
 園長は澄んだ微笑みと共に話していく。
「その心を。お互いに」
「大事にするべきですね」
「そうなのでしょう」
 二人は澄んだ微笑みと共に話していくのだった。そうして。 
 園長は中佐の眠る靖国に参拝し工藤は動物達が眠る慰霊碑に花を捧げたのだった。彼等は苦渋を乗り越えそのうえで互いに祈りを捧げた。心と共に。


苦渋   完


                   2012・7・29
[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ