第三章 X《クロス》
忠犬
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二人が転がってそれを回避しているうちに、長岡は立ち上がってその場から離れ、凩の体を抱えあげた。
「凩?凩ッ!!」
呼びかける長岡に、凩は小さく声を漏らすだけで、ぐったりとしてしまっている。
口からはアンデットの緑の血液が流れており、死なないとはわかっていてもあまりにもひどい状態だった。
キャロが近くに駈け寄って治癒魔法をかけようとするが、なぜか効かない。
スカリエッティもその体を診るが、あまりにも衝撃が強かったからか再生が始まらない。
やられ、倒れた凩の姿にWとスバルがキレ、エリオまでもが咆哮を上げて切りかかって行っている。
が、それを相手にしてもコックローチアンデットの動きは彼らを超えていた。
Wとスバルはあしらわれ、エリオは投げ飛ばされ、ティアナの弾丸は当たらない。
「竜召喚士の御嬢さん。もう治癒はやめたまえ」
「な、何を言ってるんですか!!あなたやっぱり・・・・!!!」
いきなりそう言ったスカリエッティに、キャロが睨みつけて反論した。
その目には涙が溜まっており、「睨み」には思っていたほどの効果はない。
「その犬はアンデットだ。ここで戦力になるならまだしも、あくまでもこうして盾になることしかない。ならばその治癒を、ほかの仲間のために回す必要があるのではないかい?」
「そ・・・それはそうですけど・・・・でも・・・・」
ぼそぼそと反論の言葉を探すキャロだが、いかんせんここはスカリエッティの言葉が正しい。
凩をここで復活させても、幾分かの戦力にもならない。
それに彼はアンデット。ほっといても死にはしない。
ならば、その力は他の仲間が負傷した時に使うべきではないのか。
彼らは「死ぬ」のだから。
それを聞いてうろたえるキャロの手に、長岡がそっ、と手を当てた。
「ありがとう。でももう大丈夫よ。あなたのサポートなしで勝てる相手じゃない。行ってあげて」
「で、でも!!」
「自分の身は自分でも守れる。だから・・・・」
「・・・わかりました・・・・でもこれくらいはさせてください」
長岡の言葉を承諾し、キャロがバリアを張ってその場から戦線のサポートに向かった。
中に残ったのは、スカリエッティと長岡、瀕死の凩。
しかし
「オラァ!!!」
コックローチアンデットがスバルたちに何かを投げつける。
それは黒い塊で、それを咄嗟にスバルが魔法陣のバリアで防いだ。
その瞬間
ドォン!!!
「きゃあアアアアアアアアアアア!!」
「スバル!
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