暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第三章 X《クロス》
忠犬
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

二人が転がってそれを回避しているうちに、長岡は立ち上がってその場から離れ、凩の体を抱えあげた。



「凩?凩ッ!!」



呼びかける長岡に、凩は小さく声を漏らすだけで、ぐったりとしてしまっている。
口からはアンデットの緑の血液が流れており、死なないとはわかっていてもあまりにもひどい状態だった。

キャロが近くに駈け寄って治癒魔法をかけようとするが、なぜか効かない。
スカリエッティもその体を診るが、あまりにも衝撃が強かったからか再生が始まらない。




やられ、倒れた凩の姿にWとスバルがキレ、エリオまでもが咆哮を上げて切りかかって行っている。



が、それを相手にしてもコックローチアンデットの動きは彼らを超えていた。

Wとスバルはあしらわれ、エリオは投げ飛ばされ、ティアナの弾丸は当たらない。




「竜召喚士の御嬢さん。もう治癒はやめたまえ」

「な、何を言ってるんですか!!あなたやっぱり・・・・!!!」


いきなりそう言ったスカリエッティに、キャロが睨みつけて反論した。
その目には涙が溜まっており、「睨み」には思っていたほどの効果はない。


「その犬はアンデットだ。ここで戦力になるならまだしも、あくまでもこうして盾になることしかない。ならばその治癒を、ほかの仲間のために回す必要があるのではないかい?」

「そ・・・それはそうですけど・・・・でも・・・・」


ぼそぼそと反論の言葉を探すキャロだが、いかんせんここはスカリエッティの言葉が正しい。
凩をここで復活させても、幾分かの戦力にもならない。
それに彼はアンデット。ほっといても死にはしない。

ならば、その力は他の仲間が負傷した時に使うべきではないのか。


彼らは「死ぬ」のだから。




それを聞いてうろたえるキャロの手に、長岡がそっ、と手を当てた。



「ありがとう。でももう大丈夫よ。あなたのサポートなしで勝てる相手じゃない。行ってあげて」

「で、でも!!」

「自分の身は自分でも守れる。だから・・・・」

「・・・わかりました・・・・でもこれくらいはさせてください」



長岡の言葉を承諾し、キャロがバリアを張ってその場から戦線のサポートに向かった。


中に残ったのは、スカリエッティと長岡、瀕死の凩。




しかし





「オラァ!!!」


コックローチアンデットがスバルたちに何かを投げつける。

それは黒い塊で、それを咄嗟にスバルが魔法陣のバリアで防いだ。




その瞬間





ドォン!!!





「きゃあアアアアアアアアアアア!!」

「スバル!
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ