第66話<アウトレンジ>
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「得意のアウトレンジで撃ったからね」
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マイ「艦これ」「みほちん」
:第66話<アウトレンジ>(改)
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「え?」
私は頭を上げた。……北上の反対側だと? つまり外洋側になる。どういうことだ?
「北上さんの反対側から?」
大淀さんが眼鏡を掛け直している。
夜の港湾内では深海棲艦が、その長い髪を振り乱している。
「グウウ」
何度も振り返って確認しようとしている。だが奴らの電探には映らないらしい。
……外海から、いったい誰が魚雷を発射しているのか?
呉オジサンも頭を上げた。
「我々にとっては、まさに形勢逆転だが」
「新手ですか」
神戸もドサクサに紛れて艦娘を助け起こしている。
「痛いですっ」
……って、おい! 比叡っ! ワザとらしいって。
海上では、なおも魚雷攻撃でズドン、ズシンという地響きが響き渡る。
「もはや手持ちの、ありったけの魚雷をぶち込んでいるようだな」
舞鶴が呆れたように言う。お前は相変わらず分析力はあるな。
言われるまで気付かなかったが、確かに撃ち過ぎだ。
「いい加減、止めてもらわないと美保鎮守府が崩壊するぞ」
私も寛代から手を離して立ち上がった。
狭い港湾内の各所で次々と水柱や火柱が上がっている。こうなると深海棲艦も、逆に回避のしようがない。
「敵の駆逐艦は次々と直撃弾を受けて轟沈しています!」
大淀さんは立場上、ついつい状況報告をしてしまう。
「ああ……」
私も応える。やはり職務を全うしようとする艦娘は良いな。
その時だった。寛代が私の袖を引いて指差した。
「あっ……あれ」
突然、北上の間近で潜望鏡が上がった……と思ったら? 水着を着た、赤い髪の毛の潜水艦タイプの艦娘が浮上した。
「あれは確か……」
大淀さんが首をかしげる。
呉オジサンが応えた。
「おお、伊168か?」
「168?」
潜水艦娘か?
「イムヤ、やったね!」
彼女は海上でガッツポーズを出す。
「ひょっとして、わざわざ出向いて来たのか?」
私は言った。
すると北上の手前に顔を出した伊168。海の上から私に敬礼すると大声で叫んだ。
「提督、報告します! 呉鎮守府から来た伊168だよ……じゃない、です! 到着したと思ったら睨みあっているから……呉に報告したら『撃て』ってことだったから。得意のアウトレンジで魚雷発射だよ?」
「え? ……呉の命令?」
私は呉オジサンを振り返った。
「あ……、いやワシは食堂に居ったから知らん。代理の者や」
彼は慌てて頭を振った。
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