第十二話「その力を絶て・前編」
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きそばパンを2つ。
と、僕は机に伏せて朝のSHRが始まるまでの間仮眠をとっていた。
「あ……アムロ、これ見てくれよ!」
朝っぱらから騒々しく、隼人が血相をかいて僕の元へ駆け寄ってきた。
「何だよ〜……僕の大事な仮眠時間を邪魔しないでくれよ?」
「呑気なこと言ってる暇ないぞ!? これ、お前宛てのやつなんだけど……」
と、隼人は僕にとある一切れの紙を見せた。紙には、何か書いてある。これ、ひょっとして……「果たし状」ってやつか?
「……もしかして、果たし状?」
僕は目を細めた。いったい誰宛ての?
「そうなんだよ! それも、内容を呼んでくれ?」
「えぇ……?」
面倒な顔で僕はその文中を見た。すると……徐々に僕の目からは眠気が失せ、癖だらけな髪の毛が逆立師ちそうなほどの驚きと衝撃が僕を襲った。
「ま、マジなのッ!?」
それは、あのドイツの先鋭IS部隊「黒兎部隊」の隊長という人物からの予告というか、それにちかい果たし状であった。
「それも、悪いことに……今日来るドイツの転校生、その果たし状送ってきた張本人だってさ? しかもドイツの代表候補生」
「……」
僕は黙ると、足元を転がるハロを両手で拾い上げた。そして……
「……ハロ、怪しい奴が現れたら迷わず撃ち殺せ」
「ハロハロ!」
ハロの口から黒い銃口のような穴が……アムロは、相手を殺してでも自分の身を守ろうという強行手段に乗り出した。
「アムロに言った俺がアホだった……」
それよりも……
「マリーダさん。別に教室までついてこなくても……」
後ろを向けば、一夏と共にマリーダも登校してきた。やはり、一夏を守るために彼女も同行したのだな。
「何を言う? 今回転校してくる者の正体を知らんのか?」
「え? 誰ですか?」
「まぁいい……時期にわかる」
マリーダはため息をついた。
しばらくして、教員の千冬と副担の真耶が教室に入り、千冬の厳格な一言によって朝のSHRが始まった。
「今日は転校生を三人紹介しますけど、その内のニ人は一日遅れてくるそうなので先に一人目の子を紹介しますね?」
と、真耶は廊下で待つ転校生に「入ってきてください?」と、言うとその生徒は教卓の隣へ歩み寄り、姿を見せた。
銀髪で眼帯をした小柄な少女。そんな彼女に一夏は見覚えがあった。
「……!?」
――あの時の娘か!?
裏路地へ追い込まれ、襲ってきた謎の少女である。まさか、転校生として再び現れるとは彼とて思ってもみなかったのだ。そして、共に教室へ同行したマリーダの理由もハッキリと理解した。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ!」
「い、以上……ですか?」
「以上だ」
気まずくなる真耶だが、そんな彼女の後ろから千冬がため息をつく。
「もっと、普通の紹介ができんのか? お前は……」
「すみません! 教官!」
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