第二章
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「アリスさんを?」
「ご名答、彼女をまたお茶会に誘いに来たのよ」
「そうだったの」
「この部屋にいると思ったんだが」
それがというのだ。
「いや、いないな」
「いる筈ないじゃない」
今度は私が兎さんに言った。
「ここ私達のお家なのに」
「お父さんとお母さんはもう寝たけれどね」
「それで私達のお部屋よ」
「アリスさんがいる筈ないじゃない」
「そうよね」
「それがわからない」
兎さんはまた私達に言ってきた。
「何で御前さん達がいるんだ」
「いや、いるから」
「だから私達のお部屋だから」
「いるの当然じゃない」
「そっちこそ何言ってるのよ」
「それもそうだな、しかしここじゃないか」
兎さんは何時の間にかお部屋の中に入っていた、そして扉も閉めている。
「じゃあ別のお部屋を探すか」
「ええ、そうしてね」
「何が何かわからないけれど」
「悪魔じゃなくて兎さんが出て来るなんて」
「しかも鏡じゃなくて扉からなんて」
「そうだな、 別の場所を探すか」
兎さんは自分で納得してお部屋を出ようとした、けれど。
また扉が開いてだ、今度はだった。
そのアリスさんが入って来た、物語に出て来るそのままの外見と服装だった。実に可愛らしい。
アリスさんは兎さんを見ると笑って言ってきた。
「あら、ここにいたの」
「おや、探していたんだ」
「そう、兎さんをね」
その通りという返事だった。
「そうしてたのよ、王様と女王様に言われて」
「それはわしの言葉だよ」
「そうなの?」
「そうだよ、どういうことなんだ」
「こっちが聞きたいわよ、けれどね」
「それでもだね」
「ええ、見付けたから」
それでというのだ。
「お茶会行きましょう」
「それではな」
こう二人でお話をしていた、私達は完全に取り残されていた。けれどそれでもだった。
また扉が開いて今度はその王様と女王様が入って来てそれでアリスと兎さんに対して言った。
「おやおや、ここにいたのかい」
「探したわよ」
「あれっ、王様達もですか」
「探してたんですか」
「そうだよ」
その通りと答える王様だった。
「皆をね」
「わざわざ探して頂かなくてもよかったのに」
アリスは王様に申し訳なさそうに返した。
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