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マイ「艦これ」(みほちん)
第60話<深海棲艦>
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「そうか……そうだな」
そう思うと、無下に艦娘を責められまい。敵が上手(うわて)なのだ。

彼は続けて言った。
「魚雷は一発のみで、その後、攻撃を敢えて中断して待ち構えて居たのだ」

「どこまでも、ふてぶてしいわね!」
これは暁か。

 しかし、あの深海棲艦……その余裕ある態度には我々が、まるで(もてあそ)ばれたような嫌な気分になる。

 その腕を組んだ深海棲艦は黙ったままジッとこちらを見ている。探照灯に照らされた白い肌が、よけいに美しく……もとい不気味に見えた。そうか、これが利根の言っていた『戦うほうがマシ』という睨みあいか。

 第六駆逐隊のメンバーは縮み上がって固まっている。

 しかし日向たちが戦っている姿を遠目に見たときには私も恐怖心しか感じなかった。
ところがこうして至近距離で『彼女』の妙に透き通った目を見ていると……何だろうか不思議とあまり恐怖心を感じないのだ。

 それは他の軽巡や重巡の艦娘たちも同様らしい。そこはやはり駆逐艦よりは上位クラスの艦娘自身が持つ『精神的余裕』というものだろうか?

少し眩しそうな顔をしながらその深海棲艦は私をじっと見詰めた。
 さすがに私も恐怖心はあるのだが現場指揮官として目を逸らすわけにはいかない。

(彼女らは本当に我々が敵対すべき相手なのだろうか?)
 そんな不可解な想いが湧く。

恐怖すべき、そして憎むべき相手なのに、どこかに共通するものを感じるのはなぜだ?

 時間にして僅かだと思うが、まるで数時間その場で互いに睨み合っていた感覚だ。

「勝手はさせません!」
 ……らしからぬ台詞を叫んだ比叡が沈黙を破った。やっぱりお前か。この軽い突っ込み力は、さすがだ。

 白い肌の深海棲艦は私から目を逸らすと比叡を睨んだ。そして笑ったのだろう、口元が少し弛んだ。

「ひええ!」
 さすがの比叡も敵に直視されて怯んだらしい。彼女は危うく探照灯を落としかけた。

「お、おいっ!」
 比叡よ! 主軸戦艦のくせに敵を目の前にして変な声を出すなって!
 皆の士気が下がるじゃないか!



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