第五十二話 その手に幸せをその六
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「先輩からも同級生からも後輩からもな」
「嫌われてるのね」
「二人共な」
「そうした人達とは一緒にいたくないわね」
「友達というか知り合いに持ちたくないわね」
「そういう奴は最初から友達じゃないな」
「ただの知り合いね」
「ああ、そんな奴等には友達は出来ないさ」
それこそ最初からというのだ。
「自分達の形勢が悪くなったらすぐに切り捨てて逃げる様な奴なんかな」
「そうよね」
「まあその切り捨てられた後輩は今は幸せにやってるよ」
「そうなの」
「そいつ等とは別に本当の意味での友達もいてな」
「あっ、それはよかったわね」
優花はその話を聞いてこれまでとは一転して笑顔になった、声にもその感情が出ていた。
「その子にとって」
「だからかなり助かってたしな」
「それになの」
「家庭もよくなかったらしいけれど親戚の家に引っ越して」
「そっちもよくなったの」
「しかも恋人も出来てな」
「余計になのね」
「今は楽しくやってるいよ」
そうして学園生活を送っているというのだ。
「不幸な目に遭っても拾う神様っているんだな」
「そして本当の意味でのお友達も」
「ああ、その後輩にはいてな」
「付き合ってくれる人もいい親戚の人もいてくれてな」
「幸せになれているのね」
「周りにいい人がいてくれるとな」
それでともだ、龍馬は話した。
「幸せになれるな」
「そうね、私みたいに」
「何かな、自分だけで頑張ってもな」
こうもだ、龍馬は言った。
「幸せになれないよな」
「人って自分だけじゃ」
「そうも思ったよ」
「その子のことを見ても」
「そうだよ、中々難しいな」
自分だけで幸せになる、そのことはというのだ。
「どうしても」
「そうでしょうね、私もね」
優花は自分のことから考えて龍馬に述べた。
「とてもね」
「御前一人じゃか」
「ここまでなれなかったから」
だからだというのだ。
「わかる気がするわ」
「そうなんだな」
「ええ、皆がいてくれたから」
龍馬だけでなく優子、そして療養所の人達もというのだ。
「今みたいになれたのよ、それでね」
「それで?」
「神戸に帰る前にお世話になった療養所の人達にもね」
「挨拶してだな」
「帰るわ」
そうするというのだ」
「それがいいわよね」
「ああ、やっぱりな」
「するべきよね」
「俺もそう思うぜ」
龍馬にしてもというのだ。
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