第五十二話 その手に幸せをその五
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「神戸に戻られるなんて」
「本当に色々あったからな」
「その色々なことも思い出して」
「嘘みたいに思えるんだな」
「ええ、けれど本当なのよね」
「だから今こうして話してるんだよ」
龍馬は優花にまた言った、今度はこうしたことを。
「俺達はな」
「そうよね。夢じゃないから」
「こうして話が出来てるんだよ」
「どうなるかって思ったけれど」
「ここまで来たな」
「じゃあ神戸に戻って」
「お祝いしような」
神戸に戻ったそれのというのだ。
「俺達で」
「私と龍馬と」
「優子さんでな、長崎に行く時みたいに」
「あの時凄く楽しかったわ」
「そうだよな、その時みたいにな」
「楽しくなのね」
「三人でな」
かけがえのない者同士でというのだ。
「そうしような、あとな」
「あと?」
「俺御前と離れなくてよかったよ」
優花が女の子になると知った時にだ、龍馬はあらためて思った。
「優子さんもそう言ってたけれどな」
「そうなの」
「ああ、友達が困ってる時に傍にいないとかな」
逃げたり切り捨てたりだ、そうしてというのだ。
「そいつは友達じゃないんだよ」
「そうよね、私もそう思うわ」
「後輩でいるんだよ、一年下にな」
「そうなの?」
「二人共陸上部でな」
部活でだ、後輩だというのだ。
「友達にある女の子に告白しろってけしかけてな」
「それでどうしたの?」
「告白は失敗で振られてその友達は告白した娘やその周りから責められたんだよ」
「何で?」
「御前なんかがあの娘に釣り合う筈ないって論理でな」
「何それ、無茶苦茶じゃない」
優花はその話を聞いて瞬時に眉を顰めさせた、そうして言うのだった。
「告白しただけでそれって」
「酷いだろ、それでけしかけた連中はな」
「逃げたのね」
「縁を切ってな」
「それも最悪ね」
「そういう奴等がいるんだよ」
「それでその二人は」
「部活全員から嫌われてるさ」
龍馬は汚いものを語る声で優花に話した。
「俺も無視してるよ」
「そうなの」
「そういうことが出来る奴等だ、わかるな」
「性格がかなりなのね」
「悪くてな、どっちも」
「それで嫌われているのね」
「手の平返しとか普通にするからな」
そうした人間性だからというのだ。
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