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マイ「艦これ」(みほちん)
第58話<心の拠り所>
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そも人は、なぜ自分勝手に他人を遠ざけるのだろうか? 直接、話し合えば通じることが多いのに直ぐに壁を作ってしまうのだ。それは既成概念なのか? 

 だが私は鎮守府の指揮官の任を受けたのだ。作戦遂行だけが指揮官の使命ではない。普段から兵士たちの心身の管理もすべきだろう。

 特に艦娘は特殊だ。今までの軍隊の常識が通じない。そこに私は何らかの道筋をつけるべきなのだ。私も、もっと心を開いて他の艦娘たちと一緒に語り合い共に苦しみ抜こう。これは一蓮托生の道なのだ。

 その第一歩として……私はこちらに向かってくる北上を見ながら思った。彼女が埠頭に戻って来たら心の底から「お帰り」と声を掛けて迎えるのだ。
 今はそれしか出来ないが艦娘たちと共に美保鎮守府の勝利を少しずつ刻んでいこう。

 近くまで来た彼女に私は声をかけた。
「ありがとう北上。お前と共に私もまた少しは前進できそうだよ」

「やめてよ今さら」
恥ずかしそうにダメだしをする仕草をした北上だ。相変わらずストレートな物言いだが、そこはお前らしいな。

 その時だった。
『ソウハ、イクカ』

妙な声が響き渡ったような気がした。

『え?』
私たちは、ほぼ同時に辺りを見回した。

 突然埠頭一帯は妙な空気に包まれている。直ぐに嫌な予感がした。
すると暗い海面上を不気味な航跡が迫ってくるのがはっきりと見えた。

 魚雷か?
「あぶない!」

 私の叫びを聞いた北上は、とっさに振り返ると海の上で身をかわす仕草をした。北上をかすめた不気味な航跡は埠頭の岸壁に突き刺さった。

 それを見る以前に私は反射的に舞鶴へと突進していた。タックルするように彼と二人で埠頭の横の草むらへと身を躍らせた。次の瞬間には二人の体が宙を舞っていた。


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