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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十七話 少女たちの決意 前編
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とうございます」

 こうして柚那とクロノは無言で会話を始め、同じくしてリンディ達も本題に入った。

 今日までに至るジュエルシード関連の出来事について、ユーノを中心として説明が始まった。

 ユーノがなのはと黒鐘に出会った事。

 ジュエルシードを巡り、金髪と黒の衣服に身を包んだ魔導師の少女と、黒鐘を圧倒するほどの実力を持つ凶暴な魔導師との戦闘など。

 ユーノの説明になのはと雪鳴が補足を入れながらの説明を終えると、リンディは数秒だけ目を閉じて思考に意識を集中させ、そして目を開いた。

「黒鐘には休暇を与えていたんですが……やはりと言うか、そうなりましたか」

「やはり?」

 リンディの発言に引っ掛かりを覚えたなのはの問いに、リンディは困ったような笑みを見せた。

「管理局で働くようになってからの彼は、何かと巻き込まれやすい体質で。 今まで色んな事件に首を突っ込んだりしましたが、それ以上に巻き込まれた方が多かったものですから」

 だから魔法文化がない世界を選んだんですが……と、ため息混じりに漏らしてなのはたちも苦笑した。

「ですが、ここからは私たちがロストロギアの捜索を引き継ぎますから、黒鐘やあなた方の負担もなくなるでしょう」

「え……」

「それは……」

 リンディの一言に、なのはとユーノが不満を含んだ声を上げる。

 それはここまで自分たちでやってきたから、中途半端に終わることの不満が大きかった。

 まだやり残したことが多い。

 ジュエルシードのこともそうだが、なのはの頭の中には彼女がいた。

 悲しそうな、寂しそうな表情で戦う一人の少女の存在。

 小伊坂 黒鐘が必死に助けようとしているその少女は、なのはにとっても印象の強い少女だった。

 その子を助けることも、手を差し延べることもできずに終わってしまうのは嫌だった。

「私は、ジュエルシード集めを続けたいです」

 だからなのはは、自分の意思を告げた。

「なぜですか? あなたは元々、魔法とは縁のない方です。 危険な日々に身を投じる必要なんてないはずですが?」

 リンディの言葉は最もだった。

 確かになのはは地球と言う魔法文化のない世界出身の、極々普通の小学生だ。

 そんな子がある日、奇跡的な出会いを通じて魔法に目覚めて、それから命懸けの戦いをすることになった。

 命を懸ける。

 死と隣り合わせのそれは、普通ならば関わる必要のない世界だったもので、関わらなくていいのなら関わらなくていいのだ。

 なのはにはその権利がある。

 それは決して逃げではないし、それを責める人はいない。

 それなのに、なぜ戦うほうを選んだのか、リンディはわからなかった。

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