0015話『最初の…』
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それで扶桑は笑顔を浮かべて自身の部屋へと戻っていった。
それと同時に榛名も姿を現す。
《提督、きっと山城さんは悩んでいるんだと思います。
最初のケッコンカッコカリの自分は本当に愛されているのかと…》
「ああ。だから今一度私は彼女に思いを伝えようと思う。辛かったら隠れていてもいいんだぞ、榛名?」
《いえ、大丈夫です。当時の事を思い出せば私は彼女に勝負に負けてしまったんですから》
「そうか」
それで私は山城の部屋の扉をノックする。
すると中から少し顔色が悪い山城が姿を現した。
「…提督? それに榛名も…なにかご用ですか?」
「ああ、山城。今日は君に今一度誓いたい事があってやってきたんだ」
「そうですか。まぁ、なんにもありませんが部屋に入ってください」
「ありがとう」
そして山城の部屋に入れてもらい椅子に腰かける。
「それで、ご用というのは…?」
「山城。最近君は調子が悪いそうじゃないか。時雨から聞いたよ」
「そうですか…。まったくあの子は」
「時雨の事を悪く思わないでくれ。君の事を心配しての相談だったんだから」
「わかっています」
「それで考えた末にまだ君にこの世界に来てから思いを伝えていない事を思い至ったものでな」
「提督の思いですか…?」
「うん。覚えているか…? まだ誰ともケッコンカッコカリしていなかった時に私は榛名と君の事をこうして口に出すと恥ずかしくなってくるけど…二人を好きになっていたんだ」
「提督…」
《提督…》
それで山城と榛名が同時に顔を赤くする。
「それでどちらに最初に指輪を贈るか迷った時に私はある事をした。
毎日朝と夜で旗艦を交換して演習を行って先に練度が達した方とケッコンするって」
「でも、私には扶桑姉様という心に決めた人が…」
「それはもう聞いたよ。でもいいんだ。それでも勝負に勝って最初に指輪を贈ったのは間違いなく君なんだから」
「………」
それで顔を赤くさせて無言で俯いてしまった山城。
「…なんで、こんな私を選んでくれたんですか? 榛名でもよかったでしょう? こんな不幸な私を選んでも何の得にもなりませんよ」
「不幸とかそんな事は関係なく好きになったんだ。山城が魅力的な女性だったから私も指輪を贈れたんだ」
「でも…」
まだなにかと理由付けをしようとする山城に榛名が話しかけた。
《山城さん。素直に提督の気持ちを受け取ってください。
そうじゃないと勝負に負けてしまった私が惨めじゃないですか》
「あ、榛名…そんなつもりは…」
《はい。わかっています。でも、私も提督の事が大好きです。ですから山城さんも素直になってもらいたいんです》
榛名も恥ずかしい事を言ってくれる。
一体化してしまっているからなんとなくだけど榛名
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