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リリなのinボクらの太陽サーガ
出立のリターン
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急に脱出しなければならなかった。

「一人でダンジョン探索とか、私の領分じゃないんだけど……。こういうのはジャンゴさんかサバタさんの役目なのに……」

未知の遺跡内部を歩き出した私は必死に恐怖を抑え込みながら、通路を進む。壁を叩いたり、刀で床を突いたりして、罠の存在を確認してから慎重に進んでいるため、速度は遅いが着実に探索を進められていた。ただ……私は罠の臭いに敏感だけど、どうもこの遺跡に危害を与えるような罠は仕掛けられていないらしい。本来こういう場所には隠されている何かを守るために罠が仕掛けられているものだが、ここまで何もないとなると、この遺跡は普通の遺跡と根本的に何かが違うのかもしれない。そもそもひとくくりに遺跡と言っているが、実はここ……建築物じゃないとか?

「……ここまで見てきた感じだと、居住に必要な施設や設備らしきものは整っていた。長い年月が経っているにも関わらず、未だ機能を失っていないのは正直驚いたけど、シェルターにしては技術力が過剰だ……。何というか……どこか次元航行艦に近い設計になってる。設備のレイアウトもそれっぽいし……」

遺跡の考察をしながら探索していくと、私はモニターやキーボードなどが多く並ぶ空間にたどり着いた。その空間の中で最も高い所にあった椅子には、写真が入ったコンパクトが置かれていた。長い年月を耐え抜いたコンパクトは、この椅子に座っていたであろう誰かの娘らしき女の子の顔写真が写っていた。

「……なんだかあの時、サン・ミゲルにやって来た彼女に似てるな。髪の色とかは違うけど……顔立ちが彼女を彷彿とさせる……」

ジャンゴさんを連れ去った彼女が何者なのか、私には何もわからない。ただ、悪い人ではないという気はしていた。一度封印を解いて目覚めさせたヨルムンガンドのことは、力を奪って二度と封印を解かせないためにジャンゴさんがいる内に何とかしようという意図があったのだと思ってる。実際、あれからヨルムンガンドが目覚めようとする気配は二度と無かったから……。

とりあえず、このコンパクトは誰かの遺品かもしれないから、持っていくのは憚られた。このままここに眠らせてあげよう。それと、この椅子が艦長席だとすれば、ここはやはりブリッジらしい。艦長席の傍にある縦型パネルに触れてみると、ブゥンと電子音を立てて液晶画面が浮かび上がった。どうやら再起動してくれたみたいだ。

「デバイスか機材があれば、この船のデータ収集が出来たんだけど……無いモノは仕方ないか。え〜っと……この文字は(ケーニッヒ)だから……古代ベルカ語か。所々がデータの破損で読めなくなってるけど……『T.C.4767年0―月――日。本艦が輸送していた―――が突如再起動、暴走を開始。奴のコンピュータウイルスによりマリアージュ・コアシステムがハッキングされ、――
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