1st season
1st night
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女性。中に入って席に通されると、眼鏡をかけた青年が話し出した。彼と共に乗ってきた女性のショップに、車を持ち込んだ人物だ。
「今日集まっていただいたのは、『D』についてなんです」
「『D』ね……『アレ』ってことでいいのかな?やはり実在したんだ?」
「ええ。今はお見せできませんが、データは私の手元にあります」
「へぇ……んで、あのショップの人も連れてきたってことは、そういうこと?」
それに答えたのは、緑のシャツに黒のダメージデニムを合わせた男性。どことなくとあるバスジャック事件の映画の主人公に似ているとは彼の友人談。
「まぁ、そう思っていただいて結構です。『Dの遺産』は、今彼女のお店にあります」
「やはりか……そういうことだと思ったよ。んで、俺達をわざわざ呼んだ理由って?まさか世間話『だけ』なわけないよな?」
もう一人の男性は、黒地に襟がヒョウ柄のポロシャツとワインレッドのダメージデニムというコーデ。香港マフィア映画に出てきそうとはこれまた彼の友人談。
「それは本題が終わったあとにでもゆっくりと。お二人には、少し頼みたいことがあるんですよ」
「へぇ……ま、聞くだけならタダだしな。話してみ?」
青年は、置かれたグラスを一気に煽り、一息つけてから話し始めた。
「『Dの遺産』の噂が水面下に広がっているのは、お二人ももうご存知ですよね?」
「あぁ、最近うちの店でもたまに聞かれるよ。知らないとしか言えないけどね」
「ええ、もしその中で、『本物』っぽい人を見かけたら、私に教えて欲しいんです」
「……なるほどね、『ソレ』に乗れそうなドライバー、っていうわけか」
「ええ、あれは私の『夢』、圧倒的な速さに仕上がってしまったがために、並のドライバーじゃクラッシュ待ったなし。『アレ』を押さえ込めるだけの技量と経験を積んだドライバーが、もしお二人のところに現れたら、私に連絡していただきたいのです」
「なるほどね、わかった。こっちから探さなくていいのかい?」
「そこまでしていただくわけには。ただの道楽みたいなもんですし、『アレ』を乗りこなしたいなんて奴は、相当のバカか何かの執念にとりつかれてる奴でしょう。そういう奴は自然と名前が売れてくるものです」
そう言って彼は微笑む。横に居る女性は、納得と同時に呆れかえるような表情を浮かべていた。
「じゃあ、それまで私は不良在庫を抱えなきゃいけないわけですか」
「まぁまぁ、だから最初にお金は入れておいたじゃないですか」
「出て行くまでは在庫です。全く面倒くさい……」
「すみませんね、私の自宅はガレージが狭いもので、そう何台も車置けないのですよ」
頭を抱える女性。それを見ながら、緑のシャツの男性が問いかける。
「それはそれとして、だ。その『D』とやら
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