0013話『遅いお花見』
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
深海棲艦がこの世に蔓延っている世の中だ。
それこそゆったりとしていてはダメだと思う。
だけど、もう四月の後半…桜の葉も散って少しずつ緑に変わってきた今日この頃、鎮守府の敷地内にある桜の木の下でお花見が開催されていた。
なぜお花見なのかというと陽炎型駆逐艦十番艦の時津風が言い出したことである。
「しれー、お花見しよう?」
「お花見…?」
「うんお花見」
「しかし、もう桜も散ってしまっているだろう?」
「だけど桜だけがお花見じゃないでしょー? やろう…?」
私の肩に乗りながら時津風が猫撫で声でそんな事を言い出していたのだ。
それで一緒にいた雪風が、
「しれぇ! いいと思います! この世界に来てからというものしれぇはこの世界に慣れるために勉強三昧ですから息抜きも必要だと思いますっ!」
前歯をきらりと光らせながら愛嬌のある笑顔で雪風にそう言われてしまっては断りづらいものがあるな。
「…わかった。でもこの間に宴会をしたばっかりだから規模は少な目だぞ? まだ食糧の供給だって万全ではないんだから」
「わーい!」
「はいっ! わかりました!」
そんな二人の駄々もあって私達はこうして桜の下で鳳翔さんや間宮さん、伊良湖さん達の手作りの重箱をつついているという流れである。
そしてお花見と聞いて黙っていられるほどうちの艦娘達はおとなしくなかった。
みんながみんなしてお花見を楽しんでいた。
そんな中で赤城が加賀と一緒に私のもとへとやってきて、
「提督。お花見楽しんでいますか?」
「ああ、赤城。そういう二人も楽しんでいるか?」
「ええ、提督…。赤城さん、せっかくですから提督のそばに一緒にいませんか?」
「ふふ、加賀さんがそう言うのでしたら」
赤城は楽しそうに、加賀は少し頬を赤らめながらも私と一緒の席に着いた。
「…しかし、不思議なものです」
「なにがだ、赤城…?」
「はい。私達は今までゲームの中だけの所謂データの存在でした。提督も同様に艦これというゲームをしている一般人だったはずでした。ですが…」
「はい、赤城さん。どんな数奇な巡り合わせなのか私達はこの世界に来たと同時に実体をもって提督ともこうして自由にお話ができる………これにはさすがに気分が高揚します」
そう言って加賀は少なくない笑みを浮かべる。
驚いた。
赤城はともかく加賀ってこんなによく喋って感情豊かに笑う子だったんだな。
もっと物静かなイメージだったけどいい意味で見直さないといけないな。他の艦娘達も含めて。
「あ! 加賀さんに赤城さんを発見! ついでに提督さんも発見したよ、翔鶴姉!」
「そうね瑞鶴。提督の周りには今は加賀さん達だけみたいだから一緒に席に着きましょうか」
瑞鶴が指をさしながら翔鶴とともにこちらにや
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ