第52話<桃色吉凶>
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だな。
彼は言う。
「今朝、あの将校殿も述べられたように、いずれ艦娘たちは各鎮守府でも重要な位置を占めていくと考えるンですわ」
「……そうですね」
それは否定しない。
「ワシも最初は半信半疑でしたが今日、この鎮守府で過ごしてますとな……なンとなしか、そんな気がしてきたンやな」
「そうですか?」
やっぱり毒されてきたか。
「ここに来たンも、せっかくの機会やし……少しでも艦娘たちの姿っちゅうか、戦場以外の普段の姿に接することも同じ海軍の軍人……特に参謀としては、今後も含めて必要かなって思いましてな」
堅物そうな呉から、そんな前向きな台詞を聞くとは思わなかった。
視線を感じた私はふと顔を上げた。そこには、何かを期待するようなキラキラした目の神戸……お前は比叡か?
呉は舞鶴を見て続ける。
「舞鶴さんには別に無理強いしません。今日、予定通り舞鶴へ戻られても構いませんし。ワシら勝手に言い出しちょるだけですから」
「あ、いや……」
相変わらず煮え切らない奴。
ふと気づくと祥高さんも説教を終わって、私たちのやり取りを聞いていたようだ。
「司令? もし皆様が、ご希望でしたら直ぐにでも対応させます」
「え?」
……だから祥高さん、あなたマジで対応力あり過ぎ。
「そうだな」
心とは裏腹に私は、つい流れのままに応えてしまった。
さらに私の口が勝手に回る。
「この際だから」
ピンクの作業着になった自分を見ながら私は言った。
「皆さん、制服は脱いでリラックスしては如何ですか?」
私は何を砕けたこと言ってるのか……自分で理解不能だった。
ピンクの作業着を着て半分自棄になったか? あるいは艦娘オーラに私も、しっかり毒されたのか。
東の窓からは夕日に赤く染まった大山が美保湾を桃色に染めているのが見えた。その桃色は吉凶どちらの前兆なのかな?
いやはや、もう、どうでも良かった。
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