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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ヨツンヘイム
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音に聞こえるのだ。4つの手に握られた、まるで工事現場の鉄骨のように角ばった巨剣を軽々と振り回している。

対して、やや小型の邪神は、もう何がなんだかわからない造形をしていた。巨大な耳と長い口吻(こうふん)を備えた顔は象っぽくもあるが、後ろに続く胴体は饅頭(まんじゅう)のように扁平(へんぺい)な円形で、それを支えるのは20本はあろうかという鉤爪(かぎづめ)のついた足だ。全体的には、象の頭がくっついたクラゲ__だろうか。鋭い爪を繰り出して、のし掛かる三面巨人を退けようとするのだが、暴風のように叩き付けられる4本の鉄剣に(はば)まれて顔まで届かない。逆に押し負け、剣の先端が饅頭型の胴体を(えぐ)るたび、どす黒い体液が霧のように飛び散る。

「ど……どうなってるの……」

体を隠すことも忘れ、リーファは呆然と呟いた。

ALOに於いてモンスター同士が戦闘している場合、通常それには3つの理由が考えられる。

1つは、どちらかのモンスターが、飼い馴らし__テイミングスキルに長けた猫妖精(ケットシー)族プレイヤーの使役(しえき)する《ペット》である場合。2つ、どちらかが音楽妖精(プーカ)族の奏でるメロディーによって煽動(せんどう)されている場合。そして3つ、幻属性魔法によって惑乱(わくらん)させられている場合だ。

しかし今目の前で繰り広げられている死闘の理由が。それらのどれでもないことは明らかだった。ペットモンスターならターゲットカーソルが黄緑色になるはずだが、どちらの邪神のカーソルもモンスターを示す黄色のままだし、空気を満たすのはぼるぼるびゅるびゅるという雄叫びと地響きばかりで音楽などまるで聞こえないし、惑乱魔法の発動を示すライトエフェクトも一切見えない。

立ち尽くすリーファ達の視線などまるで意に介さず、2匹の邪神は激しい戦いを続けている。しかしやはり、三面巨人の優勢、象クラゲの劣勢は動かないようだ。ついに巨人の剣が、象クラゲの鉤爪肢を1本根元から叩き切り、吹き飛んだ()がすぐ近くに落下してリーファの体を揺らした。

「お、おい、ここにいたらヤバそうじゃないか……?」

隣で呟くキリトに、頷きつつもリーファもネザーも動けない。迂闊に動いてこちらが見つかれば、象クラゲの二の舞になりかねない。更に、傷口から(ほとばし)る血液で白い雪原を黒く染める象頭の邪神から眼が離せない。

傷ついた象クラゲは、ひゅるるると甲高く一鳴きし、再び離脱を試みる。しかし巨人に見逃す気はないようで、饅頭(まんじゅう)型の胴体に飛びかかるや、いっそう激しく鉄剣を浴びせる。圧力に耐えかね、地面に(うずくま)ってしまう象クラゲの声が、みるみる弱々しいものになっていく。灰色の外皮に幾筋(いくすじ)も惨い傷が刻まれてるが、巨人はその上から容赦なく剣を打
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