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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ヨツンヘイム
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声できっぱりと言った。

「いや……、君はログアウトしてくれ。仮想体(アバター)が消えるまで俺達が守るから」

「え、な、何でよ?」

「もう2時半を回る。君、リアルじゃ学生だって言ってたろ?今日は俺達のために8時間以上もダイブしてくれてるのに、これ以上無理に付き合ってもらうわけにはいかないよ」

「………」

あまりに突然の言葉に声を失うリーファを見つめ、キリトは静かに続けた。

「直線的に歩いたってどれだけかかるかわからないのに、その上あんな超大型モンスターの索敵範囲を避け続けようとすれば、実際の移動距離は倍になってもおかしくない。例え階段まで到着できてもきっと朝方になってしまうはずだ。俺とネザーは何が何でもアルンに行かなきゃいけない理由があるけど、今日は平日なんだし、君はもう落ちたほうがいい」

「べ……別に、あたし平気だよ、一晩くらい徹夜したって……」

無理矢理笑顔を作りながら、リーファは首を振ろうとした。

しかしキリトは、掴んでいた袖を離すと、会話を打ち切るようにぐいっと頭を下げた。

「リーファ、今まで本当にありがとう。君がいなければ、この世界の情報収集だけで何日もかかってたはずだ。たった半日でここまで来られたのは君のおかげだよ。どれだけお礼を言っても足りないくらいだ」

「………」

不意に襲ってきた胸の痛みに耐えかね、リーファは固く両手を握り締めた。

痛みの理由はわからなかった。しかし、ほとんど自動的に唇が動き、強張った声を押し出していた。

「…………別に、2人のためだけじゃないもん」

「え……」

頭を上げたキリトから眼を逸らし、リーファは硬い声で言い募った。

「あたしが……、あたしがそうしたかったからここまで来たんだよ。それくらい、わかってくれてると思ってた。何よ、無理に付き合ってもらう、って。じゃあ、キリト君は、あたしが今まで嫌々同行してたって、そう思ってるの?」

込み上げてくる感情をアミュスフィアが(すく)い取り、バカ正直に両眼から透明な雫をこぼそうとするので、何度も強く瞬きしてそれを押し留める。キリトの膝に座るユイと、近くで見物するネザーが、はらはらした顔で2人に交互に向けてくる視線からも逃れるように、リーファは祠の出口を向いてがばっと立ち上がった。

「あたし……、今日の冒険、ALO始めてから一番楽しかった。どきどき、わくわくすることいっぱいあったよ。ようやくあたしにも、こっちの世界ももう1つの現実なんだって、信じられる気がしてたのに……!」

最後にぐいっと右腕で両眼を拭い、闇雲に外へと駆け出そうとした__

その寸前。

雷鳴でも、地鳴りでもない異質な大音響が、ごく至近距離から降り注いだ。

ぼるるるるう、というその咆哮
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