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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ヨツンヘイム
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押しに突き動かされたのか、キリトは右手の人差し指を伸ばすと、膝の上で眠る長身10センチほどの少女の頭をつついた。

「おーいユイ、起きてくれー」

呼び掛けると、長い睫毛(まつげ)を二、三度震わせてから、ピンク色のワンピースに包まれた小さな体をむくりと起こした。右手を口元にあて、左腕を高く伸ばして、大きなあくびを1つ。その仕草が実に可憐そのもので、リーファはつい見とれてしまう。

「ふわ……。おはようございます、パパ、リーファさん、ネザーさん」

極細の銀糸を(つま)()くような声で挨拶する小妖精に、キリトは優しい声で語りかけた。

「おはよう、ユイ。残念ながらまだ夜で、まだ地底だけどな。悪いけど、近くにプレイヤーがいないか、検索してくれないか?」

「はい、了解です。ちょっと待ってくださいね……」

こくっと頷き、瞼を閉じる。

すぐにぱちっと眼を開いた少妖精は、申し訳なさそうに長い耳を垂れさせ、艶やかな黒髪をふるふると横に振った。

「すみません、わたしがデータを参照できる範囲内に他プレイヤーの反応はありません。いえ、それ以前に、あの村がマップに登録されてないことにわたしが気づいていれば……」

キリトの右膝の上でしょんぼり項垂れるユイの髪を、リーファは反射的に指先で撫でていた。

「ううん、ユイちゃんのせいじゃないよ。あの時はあたしが、周辺プレイヤーの索敵警戒を厳重に、なんてお願いしちゃったから。そんない気にしないで」

「……ありがとうございます、リーファさん」

と、(うる)んだ瞳で見つめられれば、このピクシーを動かしているのがプログラムコードなのだとはにわかに信じられなくなる。本心からの微笑みを浮かべ、ユイの小さな翅をそっと触れてから、リーファはキリトへと視線を移した。

「ま、こうなったら、やるだけやってみるしかないよね」

「やるって……何を?」

瞬きするキリトに、今度はニヤッと不敵に笑いかける。

「あたし達だけで地上への階段に到達できるか、試してみるのよ。このままここで座ってても、時間が過ぎてくだけだもん」

「で、でも、さっき絶対無理って……」

「九分九厘無理、って言ったのよ。残り1パーセントに賭けてみよ。はぐれ邪神の視界と移動パターンを見極めて、慎重に行動すれば可能性はあるわ」

「リーファさん、かっこいいです!」

小さな手でぱちぱち拍手するユイにウインクを返し、リーファはすくっと立ち上がろうとした。

しかし、その袖をキリトが強く掴んで引き戻した。

「な、何よ?」

よろけながら再び座り、抗議しようとしたが、至近距離から真っ黒い瞳を向けられて思わず黙る。キリトはじっとリーファを凝視し、これまでの暢気(のんき)さが抜け落ちた
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