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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ヨツンヘイム
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を浴びせて答えた。

「いくらネザーさんが強くても、今回ばかりはどうにもなりませんよ。噂じゃあ、このフィールドがオープンした直後に飛び込もうとしたサラマンダーの大パーティーが、最初の邪神でさくっと全滅したらしいわ。あなたが苦戦したユージーン将軍も、1人で邪神の相手をしたら10秒持たなかったとか」

「ほおぉ、あのユージーンが……」

「今じゃ、ここで狩りをするには、重武装の壁役プレイヤー、高殲滅力(こうせんめつりょく)の火力プレイヤー、それに支援・回復役プレイヤーがそれぞれ最低8人は必要ってのが通説ね。あたし達3人とも軽装剣士だし、何もできずに踏み潰されて終わりかもよ」

「そいつは勘弁だな」

と頷きながらも、密かに挑戦心を掻き立てられているらしく小鼻をぴくつかせるネザーをもう一度睨み、リーファは付け加えた。

「ま、それ以前に、九分九厘(くぶくりん)階段ダンジョンまで辿り着けないけどね。この距離を歩いたらどっかではぐれ邪神を引っ掛けて、タゲられたと思う間もなく即死だわ」

「そうか……、このマップじゃ飛べないんだよなぁ……」

キリトはがっくりと頭を下げる。

「翅の飛行力を回復させるには、日光か月光が必要なの。でもご覧のとおり、ここにはどっちもないからね……。唯一、闇妖精族(インプ)のネザーさんなら、地下でもちょこっとだけ飛べるらしいけど……」

言葉を切り、しばし互いの翅を眺める。風妖精(シルフ)であるリーファの背中から伸びる薄緑色の翅も、影妖精(スプリガン)のキリトが持つ灰色の翅も、ネザーの紫色の翅と違いすっかり燐光を失って(しお)れている。飛べない妖精など、ただの耳とんがりだ。

「となると、最後の望みは、ほんのわずかだけ飛べる俺だけってことになるな」

「あるいは、さっきリーファが言ってたみたいな邪神狩りの大規模パーティーに合流させてもらって、一緒に地上に戻るかだな」

「そうなんだけどね……」

頷いてから、リーファは視線を祠の外に向けた。

青い薄闇を透かして見えるのは、どこまでも続くような雪原と森、その彼方に屹立する異形の城塞くらいだ。もちろんあの城には親玉級の邪神とその子分がうじゃうじゃいて、近寄った瞬間に大変楽しくない目に遭うことだろう。当然ながら他のプレイヤーの姿は影も形もない。

「……このヨツンヘイムは、地上の上級ダンジョンに代わる最高難度マップとして最近実装されたばかりなの。だから、降りてきてるパーティーの数はまだ常時10以下しかないらしいわ。偶然この祠の近くに来る可能性なんて、あたし達だけで邪神に勝つ確率より少ないかも……」

「リアルラック値が試されるなぁ」

「運より実力が大事だ」

力ない笑みを浮かべる黒衣の妖精に釘を刺す。

ネザーの念
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