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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
会談終了
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ランド・クエストを攻略できるとも思えない。万が一のための保険のつもりなのだ。

再び袋を覗き込んだサクヤとアリシャは、ほぅーっと深く嘆息(たんそく)してから顔を上げた。

「……これだけあれば、かなり目標金額に近づけると思うヨー」

「大至急装備を揃えて、準備ができたら連絡させてもらう」

「よろしく頼む」

サクヤの広げたウィンドウにアリシャが革袋を格納する。

「この金額を抱えてフィールドをうろつくのはぞっとしないな……。サラマンダー連中も気が変わる前に、ケットシー領に引っ込むことにしよう」

「そうだネー。領主会談の続きは帰ってからだネ」

領主達はコクリと頷き合うと、部下達に合図した。たちまち大テーブルと14脚の椅子がてきぱきと片付けられていく。

「何から何まで世話になったな。君達の希望に極力添えるよう努力することを約束するよ、キリト君、ネザー君、リーファ」

2人の領主は手を振りながら翅を広げて一直線に上昇すると、空に光の帯を引き、赤く染まった西の空へと進路を向けた。その後を6人ずつの配下が(かり)の群れのように美しい隊列を組んで追っていく。

夕焼けの中に彼らの姿が消えてしまうまで、3人は無言で見送っていた。やがて周囲は、あの激闘と、3種族の命運をかけた駆け引きが幻だったかのように静まり返り、吹き渡る風鳴りと葉擦(はず)れの音が残るのみとなった。リーファはわずかな寒さを感じて、そっとキリトに寄り添った。

「……行っちゃったね」

「ああ__終わったな……」

一連の事件の発端となったシグルドの決裂は、もう遥か昔の出来事のような気がした。まだせいぜい7、8時間前のこととは信じられない。

「なんだか……」

キリトと一緒にいると、この世界こそが現実で、翅のある今の自分が真の姿であるような気がしてくる__というようなことをリーファ/直葉は思ったが、うまく言葉にすることができなかった。その代わりに、キリトの胸に体を預け、その鼓動を感じてみようとした、その時__。

「まったくもう、浮気はダメって言ったです、パパ!」

「わっ」

憤慨したような声と共にキリトの胸ポケットからユイが飛び出してきて、リーファは慌てて距離を取った。

「な、何をいきなり……」

焦ったような声を出すキリトの頭の周りをパタパタ飛び回ったユイは、その肩に座ると可愛らしく頬を膨らませる。

「領主達にも見とれてドキドキしてました!」

「だ、だって綺麗な人達だったんだから、男ならしょうがないんだよ!!」

自分のことを言われたわけではないとわかってリーファはほっとしたが、同時に新たな疑問が湧いてきて、ついユイに訪ねてしまった。

「ね、ねえユイちゃん、あたしはいいの……?」

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