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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
会談終了
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月光がさっと降り注いだ。
光の筋は、アリシャの前に金色の液体のように溜まっていき、やがて完全な円形の鏡を作り出した。周囲の者が声もなく見守る中、その表面がユラリと波打って__滲むようにどこかの風景を映し出した。
「あ……」
リーファは微かに吐息を漏らした。鏡に映っているのは、何度か訪れたことのある、領主館の執政室だった。
正面に、巨大な翡翠の机が見える。その向こうで領主の椅子に身体を沈ませ、卓上にドカッと両足を投げ出している人物がいた。眼を閉じ、頭の後ろで両手を組むその男は間違いなくシグルドだ。
サクヤは鏡の前に進み出ると、
琴
(
こと
)
のように張りのある声で呼びかけた。
「シグルド」
その途端、鏡の中のシグルドはぱちりと眼を開き、バネ仕掛けの如く跳ね起きた。同じく鏡の中のサクヤと真っ直ぐに眼を合わせてしまったのだろう。口元を強張らせてびくりと身体を竦ませる。
「サ……サクヤ……!?」
「ああ、そうだ。残念ながらまだ生きている」
サクヤは淡々と応えた。
「なぜ……いや……か、会談は……?」
「無事に終わりそうだ。条約の調印はこれからだな。そうそう、予期せぬ来客があったぞ」
「き、客……?」
「ユージーン将軍が君によろしくと言っていた」
「な……」
今度こそ、シグルドは大いなる驚愕に見舞われたようだった。
剛毅
(
ごうき
)
に整った顔がみるみる蒼白になる。言葉を探すかのように瞳をキョロキョロと動かし__その視線が、サクヤの背後のリーファ、キリト、ネザーを捉えた。
「リー……!?」
一瞬、飛び出すほどに見開かれたその眼は、ついに状況を悟ったようだった。鼻筋に深くシワを寄せ、
猛々
(
たけだけ
)
しく歯を?き出す。
「……無能なトカゲどもめ……。で……?どうする気だ、サクヤ?懲罰金か?執政部から追い出すか?だがな、軍務を預かる俺がいなければお前の政権だって……」
「いや、シルフでいるのが耐えられないなら、その望みを叶えてやることにした」
「な、何……?」
サクヤが優美な動作で左手を振ると、領主専用の巨大なシステムメニューが出現した。無数のウィンドウが階層をなし、光の六角柱を作り出している。1枚のタブを引っ張り出し、素早く指を走らせる。
鏡の中のシグルドの眼前に、青いメッセージウィンドウが出現するのが見えた。それに眼を走らせたシグルドが、血相を変えて立ち上がった。
「貴様っ……!正気か!?俺を……この俺を、追放するだと……!?」
「そうだ。レネゲイドとして中立域を彷徨え。いずれそこにも新たな楽しみが見つかることを祈っている」
「う……訴えるぞ!権力の不当行使でGMに訴えてやる!!」
「好きにしろ、……さらばだ、シグルド」
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