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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
会談終了
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「………」

「シグルドはパワー志向の男だからな。キャラクターの数値的能力だけでなく、プレイヤーとしての権力をも深く求めていた……。故に、サラマンダーがグランド・クエストを達成してアルヴヘイムの空を支配し、己はそれを地上から見上げるという未来図は許せなかったのだろう」

「……でも、だからって、なんでサラマンダーのスパイなんか……」

「もうすぐ導入される《アップデート5.0》の話は聞いているか?ついに《転生システム》が実装されるという噂がある」

「あっ……じゃあ……」

「モーティマーに乗せられたんだろうな。領主の首を差し出せばサラマンダーに転生させてやると。だが転生には膨大な額のユルドが必要となるらしいからな……。冷酷なモーティマーが約束を履行(りこう)したかどうかは怪しいがな」

「………」

リーファは複雑な心境で、金色に染まりつつある空と、その彼方に霞む世界樹を見遣った。

アルフに生まれ変わり、飛行制限の頸木(くびき)から脱するのはリーファの夢でもある。そのために、シルフ1の実力と噂されるシグルドのパーティーに参加し、熱心に狩りをこなして、稼いだユルドのほとんどを執政部に上納してきた。

仮に、ネザーとキリトと出会いパーティーを脱退した経緯がなければ、シグルドの口振りからして彼はおそらくリーファをサラマンダー転生計画に誘ったのだろう。そうなった場合、自分はどうしただろうか……。

「プレイヤーの欲を試す陰険なゲームだな、ALOって」

不意に、苦笑混じりの声で傍らのキリトが言った。

「デザイナーは嫌な生活してるに違いないぜ」

「ふ、ふ、まったくだ」

サクヤも笑みで応じる。

リーファは、何となく自分の心を少しばかり預けたくなって、キリトの左腕に自分の腕を絡めると体重をかけた。どのような状況に至ってもまるで動じないように見えるキリトにぴったり接していると、揺れる気持ちがすとんと落ち着くような気がする。

「それで……どうするの?サクヤ」

訊ねると、美貌の為政者は笑みを消し、一瞬瞼を閉じた。すぐに聞いた深緑色の双眸(そうぼう)は冴え冴えとした光を放っている。

「ルー、確か闇魔法のスキルを上げてたな?」

サクヤの言葉に、アリシャ・ルーは大きな耳をぱたぱた動かして肯定の意を表した。

「じゃあ、シグルドに《月光鏡》を頼む」

「いいけど、まだ夜じゃないからあんまり長くもたないヨ」

「構わない、すぐ終わる」

もう一度耳をぴこっと動かし、アリシャ・ルーは一歩下がると両手を掲げて詠唱を開始した。

耳慣れない韻律(いんりつ)を持つ闇属性魔法のスペルワードが、高く澄んだアリシャの声に乗って流れる。たちまち周囲がにわかに暗くなり、どこからともなく一筋の
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