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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
種族の危機
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いただした。

「僕、なんか引っかかると思って、今朝からずっと《ホロウ》でシグルドをつけてたんだ」

「……本当、暇な人ねえ」

《ホロウ・ボディ》というのは、レコンのもっとも得意とする透明化の魔法である。高位の隠蔽魔法と、隠密行動スキルの双方をマスターしないと使うことができない。

元々、レコンのアルファベット表記である《Recon》というのは、アメリカの軍隊用語で偵察隊を指す__正しくはリーコンと発音するらしい__のだそうだ。狩りでの先行偵察を目的としたキャラメイクに特化しているため、尾行は得意中の得意なのだろう。一度、それを悪用してリーファが休んでいる宿屋の部屋に侵入してきたことがあり、本人はこっそり誕生日プレゼントを置こうとしただけと釈明はしていたが、その時は容赦なく半殺しの眼に合わせたものだ。

長田は、直葉の呆れ声を無視して言葉を続けた。

「風の塔であいつがリーファちゃんに暴言吐いた後、あんまりムカついたんで毒で暗殺してやろうと思ってずっとチャンスを狙ってたんだ。そしたら__」

「うわ、危ない奴」

「__裏道であいつらも透明マント被って消えるから、こりゃいよいよ何かあると思ってさ。ま、アイテムくらいじゃ僕の眼は誤魔化せないけどね」

「自慢はいいから、早く先を言いなさいよ」

「そのまま地下水道に入って、5分くらい歩いたかなあ、めっちゃ奥のほうで妙な2人組が待っててね。そいつらも透明マント被ってたんだけど、それを脱いだらこいつはびっくり、サラマンダーだったんだ!」

「ええ?でも、マントじゃガーディアンは誤魔化せないでしょ?街に入った時点で斬られてるはずだけど……。まさか……」

「それそれ、そのまさか。パス・メダリオンを装備してたんだよ」

《パス・メダリオン》というのは、通商などでテリトリーを訪れる他種族プレイヤーに厳しい審査の上で与えられる通行証アイテムである。執政部のごく限られたプレイヤーにしか発行できず、譲渡(じょうと)不可という代物だが、当然シグルドなら発行権があるはずだ。

「こいつは当たりだと思って聞き耳立ててたら、サラマンダーがリーファちゃんにトレーサーをつけたとか言っててさ。それだけじゃないんだ。実は今日、領主のサクヤさんが、ケットシーと正式に同盟を調印するってんで、極秘で中立域に出てるらしいんだよ」

「あ……なるほど、それで領主館に旗が出てなかったのね」

直葉の呟きに被せるように、長田は大声で喚いた。

「シグルドの奴……サラマンダーの大部隊に、その調印式を襲わせる気なんだ!」

「な……」

直葉は一瞬息を詰めた。ことによればもう戻らない、というつもりで出てきたとは言え、シルフ領はやはり故郷であり、サクヤは敬愛すべき領主だ。込み上げてくる
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