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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
種族の危機
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直葉ちゃん、なんかおかしいと思わなかった?」
長田は、言葉とは裏腹にいつものスローな口調に戻って言う。面と向かって話す時は、馴れ馴れしく直葉ちゃん呼ばわりされれば必ず物理攻撃を伴う訂正を加えているのだが、電話ではそうもいかないのでやむなく黙認する。
それにしても、あの出来事がまだたった1日前のことだという事実は直葉を少々驚かせた。ネザーとキリトの2人と出会ったのはなんだかもう遥か昔の出来事であるような気さえする。
「え〜?おかしいって……何かあったっけ……?」
正直、旅仲間の2人の印象のほうが強すぎて、その前の
空中戦闘
(
エアレイド
)
のことはよく覚えていなかった。
「最初、サラマンダーが8人で襲ってきた時、シグルドが、自分が囮になるって言って、1人で3人くらい引っ張っていったじゃない」
「ああ、そういえば。結局彼も逃げ切れなかったんでしょ?」
「そうなんだけどさ。あれ、シグルドらしくないよ。今にして思えば、パーティーを分けるなら絶対自分はリーダーとして残って、囮は誰かにやらせるでしょ、いつもなら」
「あー ……。それは、確かに……」
シグルドの戦闘指揮官としての腕は確かなものだが、その分独善的で、常に自分がトップに立たないと気が済まないところがある。確かに、メンバーを逃がすために捨て石になるような自己犠牲的行動は彼にそぐわない。
「でも、それって……どういうことなの?」
「だからさぁ」
長田は不味いものを噛み砕くような口調で言った。
「あいつ、サラマンダーと内通してたんだよ。多分、相当前から」
「はあ!?」
今度こそ心の底から驚愕して、直葉はスマホを握り締めて絶句した。
種族間のパワーゲームが繰り広げられるALOにおいて、捨てアカウントのスパイ行為は日常的に行われている。スイルベーンをホームにするシルフの中にも、多種族、特にサラマンダーの偽装キャラクターが何人かいるのは間違いないだろう。
故に基本的に、低スキルかつ低貢献度、低アクティビティのプレイヤーは皆スパイの可能性があるとして執政部の中枢には近づけない。リーファでさえ、風の塔の裏手にある領主館に立ち入れるようになったのはそう昔のことではない。
しかしシグルドは、ALO
黎明期
(
れいめいき
)
から積極的に執政サイドに参加し、今まで4回あった領主投票にも全て立候補しているほどの古参プレイヤーだ。現領主の圧倒的な人気のせいで毎回次点、次々点に甘んじているが、選挙に敗れてもへこたれる様子もなく補佐に名乗り出てすっかり中枢の一角に大きな座を占めている。
その彼が、サラマンダーのスパイなどという話はにわかに信じられなかった。
「ちょっとあんた……それ、確証はあるの?」
思わず声を潜めながら直葉は問
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