第二話 未来と過去
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かな。
適当な理由を付け、俺は目の前の問題に集中する。
解き方は解っている。
だが、それをどうやってわかり易く人に伝えるかを考える。
「ここもそう。これは一回、全部足してから引くんだ。そしたら余計なものは全部、消えるだろ?」
「おぉ、分かりやすい!」
「そこはさっきと逆。
一旦、全部引いてから足すんだ」
「なるほど……解った」
「グライア、そこ間違ってるよ」
「え、嘘」
俺と一緒に解らないところを教えてくれているグライア。色んな奴らの問題を教えてるから混乱したのだろう。
「あ、ホントだ」
そして。すぐそのミスに気付き、答えを訂正した。
「ふぅ、疲れた。
今日はここまでにしよう」
俺は椅子に深く座り込む。
人に勉強を教えるのってやっぱり大変だなぁ。
「アカツキ、教えてくれてありがとな!」
「ホント、助かったよ」
「じゃ、また明日な!」
そう言って教室を出ていくクラスメイト達。
やっと……休める。背筋を伸ばし、机に倒れ込んだ。
「……疲れた」
「お疲れ様。アンタも大変ね」
「ホントだよ。なんで、俺がこんなことしなくちゃいけないんだ?」
「頼られてる証拠じゃない。
それに、アカツキは勉強を教えてるの楽しそうだけど」
「そんなこと……ないと思う」
否定はしない。
「まぁ、いいじゃない。クラスの皆と仲良くなれて勉強も出来る。まさに一石二鳥ねっ!」
「一石二鳥って……まぁ、そうなのかな」
勉強をするのは楽しい。
そこも否定しないけど。クラスの奴らと仲良くは……できているのかは疑問だった。
でも、そうだなぁ。
こんな日が、ずっと続けばいいな────と思っている自分は嫌いじゃない。
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