第二話 未来と過去
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ガ・イツカを名乗る偽物を許さない。ただ、それだけ。
まるで子供じみた発言だ。
だが、悪くない。
納得し難い理由だが、それも一つの選択肢だ。
そして、それを利用しギャラルホルンの地位を高めようとするラスタルも大して代わらない。
互いに利害は一致している。
それなら、納得がいかなくとも利用し協力しあえる関係を維持し続けられる。
「解りました。お手間を取らせてしまって申し訳ない」
「いえ、私も……その、」
「構いませんよ。今は、まだ、それで」
そう言い残しラスタル・エリオンは去っていった。
クーデリアは空を見上げ。
「貴方だったら、どうしていましたか?
────三日月、」
届くことのない言葉を、届くことのない人に向けて、彼女は呟いた。
最近、勉強を楽しいと思え始めた。
ちょっと前までの俺は勉強に興味を持てず、授業中を寝て過ごしてたけど……今、思えばなんでこんな楽しい時間を寝て過ごしてたんだろ、と疑問に思う。
そして、俺の周りの環境も変わった。
「アカツキ、ここの問題なんだけどさ」
「あぁ、そこはここを足して。
そこを消せば……ほら、」
「ホントだ。解けた……」
「アカツキ、俺もちょっといい?」
「いいよ。少し待ってて」
「アカツキ、俺も俺も」
「分かった。一人ずつ教えるから、そこに並んで」
俺の席の周りが、騒がしくなった。
原因は数日前に遡る。
グライアからノートを貰ったあの日、宿題のプリントの抜き打ちテストが行われた。
その内容は宿題だったプリントの内容を少し変更したものだったのだが、クラスの奴らは苦戦し、半分以上が平均点だった。
それなのに、俺はクラスで唯一の満点を採ってしまったのだ。
あの時の先生はウザかったなぁ。
いきなり抱きついてきて号泣し始めるんだけらたまったもんじゃない。
でも、嫌では無かった。
褒められた……のが、嬉しかったのだろうか。自分でもよくは解らないけど少し、身体の奥底が熱くなった気がした。
昼休みになるとクラスの奴らは、テストで解けなかった問題の解き方を教えてくれと頭を下げてきた。
最初は面倒だから嫌だ、と断ったけどグライアの奴が「いい機会じゃない、教えてあげなさいよ」と意地悪な笑顔で言ってきたので、しぶしぶ教えることにした。
グライアにはノートを貰った借もあるし仕方ない。
そう、これは仕方ないことだ。
それなのに……なんで、俺は今もコイツらに勉強を教えているんだろう?
こんな面倒なことしなくてもいいのに。俺は、なんで?
「まぁ、いいけどさ」
勉強するのは楽しい。
皆で勉強するのも……楽しい。
それなら、いいんじゃない
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