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風魔の小次郎 風魔血風録
4部分:第一話 小次郎出陣その四
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てしまったのである。
「風魔流水剣」
 小次郎はその技の名を口にした。
「手前等にはこれで充分だ」
「くっ、糞!」
「覚えてろよ!」
 彼等はその折れてしまった木刀を投げ捨てて捨て台詞も残して逃げ去った。蘭子は彼等が去ったのを見届けると姫子の側に寄った。まずは彼女に声をかけ小次郎を連れて三人で総長室に入ったのであった。
「まずは戻りました」
「おかえりなさい、柳生さん」
 堅苦しい趣きのある蘭子の挨拶に対して姫子のそれはおっとりとした柔らかいものであった。小次郎はずっと姫子を見てその目をハートマークにさせていた。
「こちらの方は」
「風魔の忍で・・・・・・おい」
「ああ・・・・・・メルヘンだなあ」
 挨拶を全然聞かずに姫子に見惚れているだけであった。ずっと彼女だけを見ている。
「マイメルヘン。可憐だよなあ」
「小次郎っ」
 その彼に蘭子が声をかける。声をかけられると不意に気付いたのだった。
「あっ!?ああ」
「聞いているのか。姫子様の前だ」
「姫子っていうのか」 
 小次郎はようやくここで彼女の名を知ったのだった。今まで夢うつつであったのだ。
「可憐な名前だよなあ。素敵で」
「有り難うございます」
 姫子はそんな小次郎に対してもにこりと笑って応えるのであった。
「そう言って頂けると嬉しいです」
「いやいや、本当のことですよ」
 相変わらずメロメロの調子で姫子に言葉を返す。先程の精悍な様子はもうない。
「こんなお姫様が総長さんだなんて」
「おい、小次郎」
 そんな彼に蘭子が険しい顔で声をかける。注意しているのがわかる。
「本当に御前大丈夫か?」
「大丈夫だよ。何怖い顔してるんだよ」
「怖い顔も何も。御前おかしいぞ」
「おかしい?そうか?」
 彼はまだデレデレしている。姫子だけを見ている。
「俺は別によ。何も」
「小次郎さんなんですね」
 ここでまた姫子が小次郎に声をかけてきた。
「宜しく御願いしますね」
「いやいや、姫ちゃん」
「姫ちゃんだと!?」
 それを聞いた蘭子がまた険しい顔を見せる。

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