第3話「Smart Links」
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
その奔流から体を引き剥がした。
強引に砂塵の壁の外へと飛び出し、砂に潰された目を拭う。
「くそ、搦め手か?洒落くせぇッ!」
雷を纏った蹴りで強引に暴風を引き起こし、砂埃に塗れたその壁を引き千切る。晴れた砂嵐を確認して『狩人』は双樹に視線を戻し、そうして漸くその変化に気が付いた。
双樹が立つその場所――否、双樹『しか』立っていないその場所には、絵里の姿がないのだ。
「……二体の竜騎士と砂塵で気を逸らしてる間に、ターゲットを逃したか。面倒な事を」
「ーーさてと、待たせたな。『狩人』」
双樹が、そう、唐突に呟く。
訝しげに双樹を睨み付ける『狩人』を気にした様子もなく、彼は二枚のカードを取り出す。眉一つ動かさずそのカードを消失させ、触媒とし、新たなる存在が顕現する。
片や、全身を白銀の鱗に包む青眼の龍王。蒼銀の輝きを携えたソレは、その巨大な身をよじらせ、圧倒的な殺気と共に、その蒼い視線で『狩人』の終焉を告げる。
片や、全身を漆黒の鱗に包む赤眼の龍王。赤黒く鈍い光沢を放つ彼の龍は、その悍ましい牙を研ぎ、爆炎をその喉奥に溜め込んで、『狩人』の滅びの刻を急かす。
「ここからは――」
双龍を従えた『彼』は相変わらずの冷たい瞳のまま。しかしその姿は、罪人に一切の慈悲を見せぬ裁定者の如く。
「ーー加減は無しだ」
王は、狩人と相対す。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ