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真田十勇士
巻ノ八十六 剣豪その十
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「それがしにですか」
「はい、その方はじかにです」
「それがしに会いたいと」
「ここにおられると聞いて参ったと」
「うむ、ではです」
 宮本はその話を主から聞いて言った。
「その御仁のことをお聞きしたいですが」
「どうした方か」
「宜しいでしょうか」
「はい、すらりとした整った顔立ちで」
「ふむ、やはり」
「髷は奇麗に整え月代はなく」
 主はその者の外見をさらに話した。
「見事な服を着られ背中には長い刀があります」
「やはりですか」
「ご存知の方ですか」
「ははは、腐れ縁です」
 笑ってだ、宮本は言った。
「ほんの」
「その方とは」
「そしてそれがしとですな」
「お会いしたいと言われていますが」
「わかり申した」 
 これが宮本の返事だった。
「あ奴が来たならばです」
「宮本殿もですか」
「会わずにいられませぬ」 
 まさにというのだ。
「ですから」
「お会いになられますか」
「はい、ではこちらに」
「お通ししても宜しいですか」
「是非、出来ればです」
 ここでだ、宮本は幸村達も見て言ったのだった。
「お二方にもお会いして欲しいので」
「だからですか」
「お通しして下され」
 是非にという返事だった。
「お願い申す」
「さすれば」
 主も応えてだ、その者を通す為に一旦戻った。そしてだった。
 宮本は幸村と根津にだ、笑って言った。
「これからです」
「面白い方の様ですが」
「腐れ縁の者で」
 先程言った通りにというのだ。
「何かと会い色々ある相手です」
「そうなのですか」
「どういう訳か」
 こうも言うのだった。
「長きに渡ってです」
「縁がですか」
「ある相手で」
「今もですか」
「はい」
 まさにという返事だった。
「左様です、それが為にです」
「宮本殿とも」
「よく会うのです、お互い天下を巡っていますが」
「まさに縁ですな」
 幸村もその話を聞いて頷いた。
「それはまた」
「それがしもそう思います、では」
「これよりですな」
「その者にお会い下され、しかし」
「しかし、ですな」
「そ奴とは何時か決着をと考えています」
 笑ってだ、宮本は言った。
「小次郎殿とは」
「生死を賭けた」
「立身と共にです」
「決着もですか」
「何時かはと考えています」
「成程、宮本殿は剣士ですな」
 幸村は宮本の本質がわかった、彼はあくまでそれであるとだ。
「剣に生きられ剣に死なれる」
「そうした運命でしょうか」
「そう思いました、では」
「これよりです」
 その佐々木小次郎と会うというのだ、実際にだった。
 幸村のところに面長で色白そして背中に長い刀を背負った大きな長身の剣士が着た。身なりも傾奇者程派手ではないが立派だ
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