第49話<発令キラキラ>
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戦艦「比叡」による第二次攻撃は、あっさりと回避された。さすがの私も同じ攻撃を二度も食らわないよっ!
それは気にせず大淀さんは眼鏡を軽く持ち上げて続けた。
「申し訳ありません司令。指令室で暗号を解読し終えたら、ちょうどこの子が来て……つい転属のことを喋ったら急に部屋を飛び出してしまって」
「それで責任を感じて慌てて追いかけてきたのか」
私は肩をすくめた。まぁ責任感が強いところも彼女らしいな。
澄んだ瞳で見詰める彼女に私は言った。
「でも大淀さん」
「はい?」
「う……」
「え?」
……いや実は『運動不足?』とまで言いかけて止めた。
指令室の番人みたいな彼女でも痛い所を突かれたら何となく傷つくような気がしたから……比叡でさえこの有様だからな。
その肝心の比叡は? ……というと相変わらずキラキラしている。
「夕方の陽を反射して余計に眩しいな」
「はい?」
「ダメージもゼロか?……お前は今、出撃すれば無敵だな」
「はいっ有り難うございます!」
(褒めてないって)
私はふと、もう一方の赤城さんを思い出した。彼女はきっと自分も美保に転属になることを直感で悟っていたのだ。
だから工廠前の『あの仕草』は『今生の別れ』でなく『また、お願いします』という意味だったのだろう。
「では皆さん、参りましょう」
祥高さんが声をかけた。
「行きますか」
「そうですね」
「……」
参謀たちは、まるで白日夢から解放されたように歩き出した。
初夏の埋立地の午後は、やたら蒸し暑かった。
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