第一話 悪の色
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小さな宝石らしきものが埋め込まれたペンダントが入っていた。
装飾はとくにされておらず、高そうには見えない。けど、その宝石はとても綺麗だった。
「手紙の方は……」
折りたたまれた一枚の紙を開く。
そこにはクーデリア自身の手で書かれた文字で埋め尽くされていた。
「手書きって……まぁ、クーデリアらしいけど」
その手紙の内容は────。
────暁。進学、おめでとう御座います。入学式に参加出来なくてごめんなさい……。私は今、仕事で地球のニホンという所に居ます。
「……ニホンって、グライアが言ってた」
────今はナツという時期らしく、とても暖かいです。日差しも強く、気温は30度を超える勢いです。
「へぇ、そんなに暑いんだ」
グライアも言ってたな。
ニホンには四つの季節があるって。
そのうちの一つ、それがナツと呼ばれるものだ。
────アトラ、お母さんと仲良くしていますか。
「うん。多分、大丈夫」
────貴方の事です。母さんには迷惑を掛けている事でしょう。
「……そうかな、そうかも、」
────でも、貴方は優しい子です。
「……」
────身体には気を付けて、無理をしてはいけませんよ。母さんが困っていたら暁、貴方が母さんを護るのです。
「解ってるよ、クーデリア」
────今の仕事が終わったら一度、火星に帰ります。その時は真っ先に家に駆け付けるので楽しみにしていて下さい。お土産を沢山持って帰ってきますから。
「お土産、楽しみだなぁ」
────暁、貴方に会う日を心から待ち望んでいます。
「俺もだよ」
────PS 学校の先生を困らせてはいけませんよ。
「……」
なんか、学校に手紙を送り付けた理由が分かった気がする。
あれ、でも……。
「このペンダントは?」
手紙を端折って呼んだけど、このペンダントについては特に何も書かれてはいなかった。
ペンダントを吊り下げ、宝石を凝視する。
やっぱり、綺麗な石だな。
っと思ったその時。宝石を固定している金属部分に何か、文字らしき物が彫られている事に気付いた。
宝石を近付け、なんと彫られているのか確認するが……。
「……読めない」
どこの国の文字なのか、それを読むことができなかった。
でも、この文字って────。
「俺の、名前に似ている?」
もしかして、これは漢字?
俺の名前のアカツキは漢字で書くと暁って読むらしい。火星では珍しい表記なので殆ど使われることはないが、恐らくこれは漢字だろうと判断する。
何故、俺が漢字の存在を知っているのかは、またいつ
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