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SAO−銀ノ月−
記憶
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が、ピナが乗っている限りは頭を上げられないと、むしろリズに謝るポーズで固定されてしまっていた。

「リズさんのことが心配だなんて、みんな分かってるんですから。別に普通にしてればいいと思いますよ?」

「そんなとこで見栄張ってどうすんのよ」

「どうしていきなり俺への糾弾が始まってるんだ」

 むしろ糾弾されるべきは、何の連絡もよこさなかったリズじゃないのか――と、理不尽な日常を呪っていると、ようやくピナが俺の頭から離れていく。

「そういえば、学校では何かあった?」

「ふふふ……よくぞ聞いてくださいました!」

 ピナに乗られていた分の首の体操をしていると、リズの問いにシリカが急に興奮しだした。目にも留まらぬ速さでメニューを操作していくと、リズにある広告を見せつけた。

「ジャーン! ユナのライブ、ですよー!」

「へぇ……あの子、もうライブなんてするのね」

 だって会いたい――とお決まりのBGM付きで流れだす広告を見て、リズが心底感心したような素振りを見せた。その広告で踊るユナの後ろにはちゃんとレインの姿もあり、あちらも今日のリズと同様に連絡がとれていない状態だったが、どうやら忙しいだけだろうと安堵する。

「それが今日の学校と何の関係があるわけ?」

「このユナのライブに招待してくれるらしいんですよ!」

「課外授業って体でな」

 最新鋭の機器《オーグマー》に続いて、まさか世界初のARアイドルの武道館ライブまで、学校行事として無料で出してくれるなどと、ずいぶんと生還者学校も太っ腹になったものだと。発足当時は、デスゲームという環境で二年を過ごした者たちの監視場などと言われていたが、もはや変わった一学園にしか過ぎないであろうか……などと、心にもないことを考えながら。

「……ライブを見ることが何の授業になるってのよ」

「さあ……?」

「いいじゃないですか! ユナのライブですよ、ユナのライブ!」

 恐らくは俺が学校で抱いた感情と、同じような心境を抱えたらしい表情をリズも見せたが、その思いの行き場は俺にも分からない。対してシリカはとにかくユナのライブに行けることが嬉しいと、まさしくファンの鑑のようだった。

「またカラオケ行きましょうね! ライブの予習です!」

「はいはい、付き合ってやるから落ち着きなさい」

「風邪気味が何言ってる」

「あー……そうよね、言われてみれば……って、どうしたの?」

 ライブの招待でやたらハイテンションなシリカを抑えながらも、徐々にそのテンションに引っ張られつつある風邪気味に釘を差しておくと。なんとも予想外なリアクションを取られたので、ついつい聞き返されるほどに素っ頓狂な反応をしてしまったらしい。

「いや……治ったわよ
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