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SAO−銀ノ月−
記憶
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配して全速力で帰ってくると、何かメッセージが来ているかもとALOに入ってみれば、これだ。

「あー……朝にさ。風邪、ひいちゃったのよ。鬼のかくらんってやつ?」

 だから携帯も見てなくて、ごめんなさい――と続けながら、リズはこの通りだとばかりに両手を合わせて謝った。昨日に腰が抜けて倒れたばかりだというのに、昨日の今日でこれでは何があったのか心配にもなる。

「昨日、ショウキがやられた時に腰が抜けちゃったのも、風邪のせいかもねぇ」

「やられてない、防いだ……で、そんな倒れるほどに風邪気味の奴が、なんでALOにいるんだ」

「ま、もう大体完治したわよ」

 どことなく違和感は感じるものの、いつもと変わらぬ様子で笑うリズに、本当に大したことはなさそうだと胸を撫で下ろす。急いで帰ってきたせいか高鳴る鼓動を抑えるべく、その場で深呼吸を数回してみせて。

「それに、なんでか知らないけどARにドハマりしてるあんたのために、こっちの鍛冶はしといてやろう、って心遣いが分かんないの?」

「心遣い痛み入るけど、まずは弁解した方がいいと思うぞ」

「弁解ぃ?」

「リズさーん!」

 こちらの言っている意味が分からない、といった表情をしていたリズが、突如として開け放たれる工房の扉で察したように顔を覆った。扉を頭突きして開けたらしいピナとともに、息を切らせたシリカが見事に転びながら工房に入ってきた。

「すぐに何とかしないと、今日はずっとこんな感じで工房が襲撃されるぞ」

「リッ、リズさん! な、何か……」

「風邪ひいてた! 連絡してなかったのはごめん! 今からみんなにもメッセージするから心配しなくていいわ!」

 鍛治仕事用のハンマーをひとまず机に置いて、リズは片手で倒れ込んだシリカを撫でながら、もう片手でフレンドに向けてメッセージを送信していた。

「もう大体完治したそうだ」

「風邪、ですか……良かったです……」

「あんたらがちょっと心配しすぎなの、よっと」

「学校にも来ないで音信不通なら、心配ぐらいします」

 こちらがシリカを助け起こしている間に、どうやらリズも風邪をひいただけだから心配するな、的なメッセージを送信し終わったらしい。手を腰に当てて呆れたような表情を見せるリズに、シリカがピナと一緒に抗議するポーズを取る。

「それにショウキさんが重体だったんですよ? 一日中ボーッと、俺は特にリズのこと心配してないぜ? 的なポーズしてて」

「あー、目に浮かぶようだわ。それで話しかけたら、考えごとしてるから、1テンポ送れて反応するのよねー」

「ねー」

「…………」

 理不尽なイジメにうなだれていると、頭の上にピナが乗りかかってきた。最初は慰めてくれるのかと思った
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