暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
HERO →→ ???
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どこかもの寂しそうに目を細め、顔を伏せるイヴに、燕尾服を着た男は吐き捨てるように言葉を放つ。

「しかし、それは《ヒーロー》であって、《英雄》ではない」

「………………」

「ヒーローと英雄は、決して同一軸上にあるモノではない。むしろ、元来それらは二律背反していなければならない存在だ。ヒーローが自らの中の身勝手な正義に基づく究極の自己中であったならば、英雄とは全を理由に個を切り捨てる自覚なき大量殺人鬼……」

「それとこれが、どう繋がるというの?」

眉根をひそめるイヴ。

だが男はそれに構わず、返答のようでそうでない、独白のような言葉を口にする。

「分からないか?小日向蓮――――あの少年は紛れもないヒーローだ。自らの仲間()()を助け、他には目もくれない典型的で真っ当に外れている異常者(ヒーロー)だ」

「だから何?それでこそ《鬼才》の域に到達できる。たった一人の女のために世界を敵に回すあの男に。そのために、わざわざ彼のその側面を伸ばしてきたんでしょう?」

全ての発端。

とある小さな黒猫が死んだ、第二十五層フロアボス戦だけではない。

《災禍の鎧》や、そこから派生した要注意(イエロー)ギルド《尾を噛む蛇(ウロボロス)》は、強大な力に対して、自身の周囲にしか目線がいかないようにするための誘導方式。

その他、大小様々な事象があの少年を追い詰める、ただそれだけのために行われていたのだ。

「正確に言えば、小日向蓮のヒーローとしての狂気を育むために、だ。だが、彼はその特性がなくなった。私はそう判断したからこそ、まだあの少年にすがっている君を完全に諦めさせるために此度の事を起こしたのだ」

少女の眼が見開かれる。

「な、にを……言って?」

周回遅れになるイヴに、カーディナルと呼ばれる男は突き放すように口を開いた。

「予兆はあった、前々から。それこそ第一層、あの《黒の剣士》を助けたその時から。先刻言ったように、ヒーローとは自身に近しい人間のためにそれ以外を切り捨てられる人種だ。だがあの時、小日向蓮は黒の剣士を助けた。わざわざ、危険地帯のド真ん中――――あの時点で近しいと呼べる唯一の人間、紺野木綿季の命を危ぶめる形でな」

「…………」

「まだあるぞ。ALO、あの世界樹の天辺で起きた一大事。あの少年は大切な庇護対象(マクガフィン)であるべきマイをああまで閉じ込め、その心を傷つけた存在――――《狂楽》を、搾取するという形であれ、赦した。あの時点では、仲間とは欠片とも呼べないような輩を、だ。他者に己の正義の天秤を押し付けるヒーローがそんなことをするだろうか?」

「………………………………」

「そして、決定的なのは此度のGGO。……なぁ、あの少年はそ
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