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Muv-Luv Alternative 帝国近衛師団
第五話
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してこのモビルスーツなる物は、図面を見た限りでも戦術機の数倍以上の頑丈な骨格と装甲厚を兼ね備えている事が分かります!」

 そう菊原が言い切ると、隣に立っていた石河島播磨重工業の代表である平野鉄二が意見を述べ始めた。平野の容姿は四十代ではあるが白髪が多く、鷹のような鋭い目つきをしている。

「我が社はエンジン、艦艇などを数多く製作、生産してきた経験がございます。そしてその経験から見て、この図面に書かれておりますモビルスーツの背中にもエンジンが搭載されております。しかも見る限り相当な推力を持ったエンジンです。これによってモビルスーツは戦術機には劣りますがある程度の機動力が確保できると言えます」

 最後に帝国製鋼所、見事に髪の毛が全て白髪で、丸眼鏡とちょび髭といった容姿の井上賞がニコニコと笑いながら口を開く。

「骨格や関節が戦術機以上に頑丈であれば、戦術機には装備できないような兵装を持たせることが出来ますな。我が社は主に砲などを製造していますので、造れと言われれば直ぐにモビルスーツ専用の装備を造りましょう」

 民間企業の三人の意見を聞いた、五人の軍人たちは驚いていた。成仁が描いた図面が戦術機よりも優れている部分があると改めて分かったからだ。
 父である隆仁も戦術機よりも同等かそれ以下と思っていたぐらいであったから、軍事兵器を造る専門家たちがここまで賞賛するとは思っていなかったからだ。

「そうか……」

 司会を務めている博恭はそう呟くと目を瞑り腕を組んで黙ってしまった。
 重苦しい空気が流れていると思えば、そうでは無い。成仁は可愛らしい笑みを浮かべ、菊原は目を充血させ興奮気味、平野は少し口の端を上げて機嫌がよく、井上は相変わらずニコニコと笑っている。

 それからちょうど十分、博恭は目を開け腕を解き椅子から立ち上がり、一人ひとりの目を見てから、最後には成仁を見つめた。そして言った。

「モビルスーツ、造ってみるか」





 この日、この小さな会議室において新たなる人型機動兵器モビルスーツの開発計画が始まった。

 勝手に決まった。










 正仁は腕時計を見た。

「今頃、成仁と父上は伏見宮殿たちの説得中か……」
「どうなるんだろうな?造らせてくれるか?」
「さあな……伏見宮殿の事だから極秘で勝手に進めたりとかしそう」
「それはそれで面白そうだな!」

 隣にいるレグルスと話ながら正仁はある場所に立っていた。正確に言えば整列していた。そして二人とも同じ白い制服を着ている。しかし周りに立っている少年少女も全員白い制服を着ている。その白い制服を着た少年少女たちの視線は、二人に集中していた。

「なぁ、正仁?」
「どうしたレグルス?」
「何でコイ
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