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真田十勇士
巻ノ八十六 剣豪その五

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「そうしてきました」
「では相当な」
「それは」
「いえ、わかります」
 主は幸村の謙遜を受けてこう返した。
「日々相当な鍛錬に励まれていますな」
「そう言われますか」
「はい、それならばです」
「貴殿ではなく」
「その浪人ならばです」
「相手になると」
「そう思います」
 まさにというのだ。
「ですから今から」
「その浪人殿にですな」
「お会いして下さい」
 こう幸村に言った。
「是非」
「それでは」
 こうしてだ、幸村主従は宮本武蔵と会うこととなった。中庭への縁側に座っているのは大柄で引き締まった顔の無精髭のある荒削りなもののある顔の男だった。主はその男に対して声をかけた。
「宮本殿、宜しいか」
「何でござろうか」
 男は微笑み主に応えた、眉は太く髪の毛も硬い感じだ。服は実に質素である。
「それで」
「実は貴殿に手合わせして頂きたい方々が来られまして」
「拙者と」
「はい」
 そうだというのだ。
「それでこちらに案内致しました」
「左様でありますか」
「はい、宜しいでしょうか」
「そちらのお二人ですな」
 男、宮本武蔵は主従を見て主に応えた。
「左様ですな」
「その通りです」
「ふむ」 
 宮本は二人を見た、そうしてあらためて言った。
「どうやらお二人共相当な武芸者ですな」
「おわかりですか」
「目と身体つきを見れば」
 その二つからというのだ。
「わかり申した」
「左様ですな」
「このお二人は共にそれがしと同じ位の武芸の持ち主」 
 そうだというのだ。
「それだけに」
「拙者もそう思いまして」 
 主も言うのだった。
「貴殿にと思った次第です」
「ですか。それでは」
「お願い出来ますか」
「喜んで」
 宮本は微笑みまた主に応えた。
「さすれば今より」
「ですか、それでは」
「お二人と手合わせを」
 こう応えてだ、そしてだった。
 宮本は主従と手合わせをすることとなった、宮本は二人と道場で対するとすぐにこう言った。
「実はこの道場では食客としてです」
「暫しですな」
「世話になっております」 
 こう幸村に話した、三人はまだ中庭にいる。そこの池や木々を見つつ話をしている。
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