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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十七話 イゼルローン要塞へ
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宇宙暦 794年 10月 18日  宇宙艦隊総旗艦 アイアース  ミハマ・サアヤ



将官会議から一日が経ちました。会議中に倒れたフォーク中佐は病気療養中という事で医務室で静養中です。その後は自室で待機になるそうです。ワイドボーン大佐の話ではハイネセンに戻った後は予備役編入になるだろうという事でした。

正直に言います、皆喜んでいますし私も喜んでいます。フォーク中佐の専断には皆がうんざりしていました。ロボス元帥の権威を借りて好き放題していた中佐が居なくなってようやく仕事が出来ると考えている人も結構います。

総旗艦アイアースの艦橋は静かです、そして何処となく緊張しています。皆、ヴァレンシュタイン大佐に遠慮しているのです。昨日の会議でフォーク中佐を、そしてロボス元帥をやり込めた大佐に酷く怯えています。相変わらず大佐は容赦が有りません。私もワイドボーン大佐に話しを聞いて怖いと思いました。

もっともヴァレンシュタイン大佐の様子は昨日までと少しも変わりません。相変わらず無関心というかヤル気ゼロというか……、一人押し黙って考え事をしています。一体何を考えているのか、私には今一つよく分かりません。

もっとも分からないと言えば、これからイゼルローン要塞攻略作戦がどうなるのかも全く分かりません。作戦案を一部修正するのか、全面的に作り直すのか、それとも現状のまま実施するのか……。

皆がその事を不安に思っています。もしかすると大佐もそれを考えているのかもしれません。分かっているのはロボス元帥が艦橋に現れた時にはっきりするだろうという事です。一体ロボス元帥はどういう判断を下すのか……。

ロボス元帥が現れたのはお昼間近になってからの事でした。表情を強張らせた元帥が艦橋に現れると艦橋の空気は一気に緊張しました。皆、ロボス元帥を正面から見ようとはしません。元帥の表情を見ればあまり状況がよくなるとは思えないのでしょう。私も同感です。

ロボス元帥は艦橋の人間を一瞥するとグリーンヒル参謀長をそしてヴァレンシュタイン大佐を睨み据えて命令を下しました。

「イゼルローン要塞へ向けて艦隊を進めたまえ」
「しかし閣下、作戦案は未だ検討が済んでいません」
「構わん。艦隊を進めたまえ、参謀長」

ロボス元帥は厳しい表情のままグリーンヒル参謀長に命じました。グリーンヒル参謀長は微かに困惑しています。そしてヴァレンシュタイン大佐は無表情にロボス元帥を見ていました。

「閣下、イゼルローン要塞は目の前です。作戦も決まらぬうちにこれ以上進むのは得策とは言えません。先ずは作戦案の策定をするべきかと思います」
グリーンヒル参謀長の言うとおりです。大体スクリーンには小さくは有りますがイゼルローン要塞が映っているんです。何の作戦も無しにあの要塞に向かう?
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