暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第三章 X《クロス》
宴会
[7/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話



そう、彼女はここに来た時から・・・いや、実際には最初から思っていたかもしれない。
なんでこんな時にこんなに能天気にはしゃいでいられるのか。

人まで死んでいるような事件ということを、軽く受け止めているのではないか、と。


しかし、ティアナはふぅ、とため息をついて「確かにそうね」と前置きをしてから、でもね、と先を続けた。



「だからってね、いつまでも辛気臭くちゃいけないのよ。こうしてなんでもないような仲間や親友とはしゃいで、遊んで・・・・それでね、こう思うのよね。やっぱりこの世界は素晴らしい・・・って」

「世界が・・・ですか?」

「いまとなっては「世界」って言葉はとても広くなってしまったけど・・・・それでも私は、この日常や仲間たちを大切にしたい。そして、それは他の誰にでもあるもの。もしもそれを守れるなら、それはとても素晴らしいことじゃない?」

「・・・・・はい」

「誰にだって素晴らしい世界がある。それを守ることは、とてもとても強いこと。だから・・・かな?こうやって、自分たちの護っているものの素晴らしさを、楽しさを、しっかりとかみしめて・・・そしてそれを壊させないために、私たちは戦うのよ」

「・・・私が生まれたのは、内戦地区のひどい土地でした・・・・」



と、そこでルネッサが自分の生れた土地のことを話す。
そのことはティアナもすでに知っている。


「生きるために殺したことも、盗んだこともありました。すぐ隣で人が死んでいきました・・・・そんなところでも、あなたは同じことが言えますか?」


彼女の生まれ故郷はひどい土地だった。
笑い声ではなく銃弾が飛び交い、煙で灰色になった空と真紅が染み込んで所々黒くなった土地。

そんな場所を知ってもなお、この世界は素晴らしいと思えるのか。
世界は決して、きれいなところばかりで構成されているわけではない。


醜く、穢く、汚らわしく



救いようのない現実というものでできた、そんな場所も存在するのだ。

それでもなお、この世界は素晴らしいと思えるのか。




「言えるわ」




それに対するティアナの回答は即答だった。
その言葉に、ルネッサの相貌が鋭くなる。

まるで、何も知らないくせに、と言わんばかりに。



「そう・・・ですか・・・・」

「と、言っても、私は何も知らないからこういえるだけかもしれないわね」

「・・・・・」

「だからこそ、あなたには知ってもらいたい」

「え?」

「この世界の、素晴らしさを。たとえそんな土地でも命は生まれるし、こうしてわたしはあなたに出会えた。それに・・・・」

「それに?」



「そこから生
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ