第三章 X《クロス》
宴会
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そう、彼女はここに来た時から・・・いや、実際には最初から思っていたかもしれない。
なんでこんな時にこんなに能天気にはしゃいでいられるのか。
人まで死んでいるような事件ということを、軽く受け止めているのではないか、と。
しかし、ティアナはふぅ、とため息をついて「確かにそうね」と前置きをしてから、でもね、と先を続けた。
「だからってね、いつまでも辛気臭くちゃいけないのよ。こうしてなんでもないような仲間や親友とはしゃいで、遊んで・・・・それでね、こう思うのよね。やっぱりこの世界は素晴らしい・・・って」
「世界が・・・ですか?」
「いまとなっては「世界」って言葉はとても広くなってしまったけど・・・・それでも私は、この日常や仲間たちを大切にしたい。そして、それは他の誰にでもあるもの。もしもそれを守れるなら、それはとても素晴らしいことじゃない?」
「・・・・・はい」
「誰にだって素晴らしい世界がある。それを守ることは、とてもとても強いこと。だから・・・かな?こうやって、自分たちの護っているものの素晴らしさを、楽しさを、しっかりとかみしめて・・・そしてそれを壊させないために、私たちは戦うのよ」
「・・・私が生まれたのは、内戦地区のひどい土地でした・・・・」
と、そこでルネッサが自分の生れた土地のことを話す。
そのことはティアナもすでに知っている。
「生きるために殺したことも、盗んだこともありました。すぐ隣で人が死んでいきました・・・・そんなところでも、あなたは同じことが言えますか?」
彼女の生まれ故郷はひどい土地だった。
笑い声ではなく銃弾が飛び交い、煙で灰色になった空と真紅が染み込んで所々黒くなった土地。
そんな場所を知ってもなお、この世界は素晴らしいと思えるのか。
世界は決して、きれいなところばかりで構成されているわけではない。
醜く、穢く、汚らわしく
救いようのない現実というものでできた、そんな場所も存在するのだ。
それでもなお、この世界は素晴らしいと思えるのか。
「言えるわ」
それに対するティアナの回答は即答だった。
その言葉に、ルネッサの相貌が鋭くなる。
まるで、何も知らないくせに、と言わんばかりに。
「そう・・・ですか・・・・」
「と、言っても、私は何も知らないからこういえるだけかもしれないわね」
「・・・・・」
「だからこそ、あなたには知ってもらいたい」
「え?」
「この世界の、素晴らしさを。たとえそんな土地でも命は生まれるし、こうしてわたしはあなたに出会えた。それに・・・・」
「それに?」
「そこから生
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