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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十六話 遠征軍の混乱
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の言うとおりだ」

ワイドボーン大佐とヤン大佐が暗い表情で頷いている。気を取り直したようにワイドボーン大佐が話を続けた。
「フォークは簡単にヴァレンシュタインの挑発に乗った。その後は猫が鼠をいたぶる様なものだ、フォークは自滅、ロボス元帥はブチ切れて終わった。皆蒼褪めていたよ、笑っていたのはヴァレンシュタインだけだった……」

怖い美人だ、自分より下の階級の人間だけではなく宇宙艦隊司令長官を標的にしたか……。体は小さくとも狙いは大きい。間違いなくヴァレンシュタインは肉食獣だ。獰猛で誇り高い肉食獣……。

「ヴァレンシュタイン大佐にはシナリオを話していなかったのですか?」
ブルームハルトがおずおずと言った口調で問いかけるとワイドボーン大佐が頷いた。
「話していなかった。変に振付をするより自由にやらせた方が良いと思ったんだが裏目に出た……。フォークの馬鹿が!」

吐き捨てるようなワイドボーン大佐の言葉にヤン大佐が話を続けた。
「多分ヴァレンシュタイン大佐はこちらのシナリオをある程度は理解していたと思う」
シナリオを理解していた? 俺だけではない、ワイドボーン大佐もヤン大佐を見た。

「ヤン、ヴァレンシュタインは何故シナリオをぶち壊すようなことをしたんだ?」
「彼はロボス元帥を排除すべきだと考えたんじゃないかな。こんなやり方は迂遠だと思った。根本的な問題の解決にならないと思った……」
「……」

皆が沈黙する中、ヤン大佐の声が続く。
「今日の会議で皆がフォーク中佐には幻滅しただろうし、彼を重用するロボス元帥にも愛想を尽かしたはずだ。次に失敗すれば更迭は間違いないだろう」
「……」

「これからどうなると」
俺の問いにワイドボーン大佐とヤン大佐が顔を見合わせた。二人とも溜息を吐いている。

「分からない、ロボス元帥がどう判断するか……。場合によっては意地になって作戦を実施しようとするかもしれない……」
「失敗すれば……」

「ロボス元帥は更迭されるだろうな……。ヤンの考えが正しければヴァレンシュタインの思い通りだ」
皆が溜息を吐いた。怖い美人だ……。



宇宙暦 794年 10月 17日  宇宙艦隊総旗艦 アイアース  エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



グリーンヒル参謀長も今日の会議には当てが外れただろう。俺があまりにもやりすぎた。顔が引き攣っていたからな。しかしロボスもフォークもまともに取り合う気はなかった。

あの二人は作戦案の修正など認めなかっただろう。やるだけ無駄だ。少なくともフォークは排除した、それだけでも総司令部の風通しはかなり良くなるはずだ。参謀長にはそれで我慢してもらうしかないな。

今思い出しても酷い会議だった、うんざりだ。フォークの馬鹿は原作通りだ。他人をけ
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