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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十六話 遠征軍の混乱
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でした」

ヴァーンシャッフェ准将の表情は渋いままだ。どうやら准将はこの二人も嫌いらしい。つまり俺の判断ではこの二人はまともだという事だろう。

「ヴァレンシュタイン大佐から聞きましたが作戦案は纏まらなかったそうですな」
俺の言葉に二人が何とも言えない顔をした。困っているような呆れているような。

「仕方ありませんね。能力は有るんだがヤル気のない奴が多すぎる。もう少しヤル気を出してくれれば作戦案も簡単にまとまるんだが……」
ワイドボーン大佐の言葉に皆の視線がヴァレンシュタインに向かった。

「人違いですね、能力は有ってもヤル気がないのはヤン大佐です、小官は能力もヤル気も有りません……。用事が有るので小官はこれで」
面白くもなさそうにそう言うとヴァレンシュタインは歩き出した。その姿にワイドボーンとヤンが困ったような表情をしている。ヤン大佐が頭を掻いた。

「どうやら御機嫌を損ねたようだ」
「確かに……、なかなか扱いが難しい。外見は可愛い子猫だが内面は空腹を抱えているライオン並みに危険だ」
「面白い例えですな、ワイドボーン大佐」
顔を見合わせてお互いに苦笑した。どうやらこの男とは気が合いそうだ。

面白くなかったのだろう、ヴァーンシャッフェ准将が先に行くと言って歩き出した。本当なら後に続くべきだが、もう少しワイドボーン、ヤンと話をしたかった。俺が残るとブルームハルトとデア・デッケンも残った。同じ思いなのだろう。この二人もヴァレンシュタインには思い入れがある。

「実際のところ、何が有ったのです?」
俺の問いかけにワイドボーン大佐が困ったような笑みを見せた。
「最初は問題なかった。フォーク中佐が作戦案を説明しヴァレンシュタインが作戦案の不備を指摘した」
「……」

「フォーク中佐はまともに返答をしなかったがそれもグリーンヒル参謀長の想定内だった。大事なのは作戦案には不備があるという事を指摘することだったんだ。会議の最後で参謀長は衆議にかけたはずだ。このまま作戦を実施するべきか否かとね」

「なるほど」
「おそらく皆賛成はしなかったはずだ。そうなればフォーク中佐を信頼するロボス元帥も無理強いは出来ない。改めて作戦案の練り直しを命じただろう。そういう方向になる、参謀長も俺達もそういうシナリオを作っていたんだが……」

「上手くいかなかったのですな?」
ワイドボーン大佐が溜息を吐いて頷いた。
「上手くいかなかった……。フォークの馬鹿が自分の作戦案を通そうとしてヴァレンシュタインを露骨に侮辱した。そこからは流れが変わった。ヴァレンシュタインは明らかにフォークを潰しにかかった……」

「フォーク中佐だけじゃないさ、ロボス元帥もだ。ヴァレンシュタイン大佐は明らかにあの二人を標的にした……」
「そうだな、ヤン
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